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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 砂糖中毒にする大企業の裏の顔
ドキュメンタリー映画『あまくない砂糖の話』監督インタビュー

加工食品の黄金則“至福点”は誰を幸せにする? 消費者を砂糖中毒にする大企業の裏の顔を暴く!

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──アボリジニの集落は砂糖を大量に使った加工食品によって壊滅の危機にさらされ、米国ケンタッキー州の貧困層の子どもたちはミルク代わりにマウンテンデューを与えられて依存症状態になっているなどの衝撃的な事実が紹介されています。中でもいちばん印象に残ったのは、食品業界で使われている“至福点(bliss point)”という専門用語です。加工食品は甘味料をどんどん入れ、甘くすればするだけ売れ上げが伸びる。そのギリギリまで甘くした限界値のことを至福点と呼んでいる。消費者の健康を考えず、商品の売り上げだけを企業は追求している。至福点とは消費者ではなく、企業を幸せにする数値なんですね。

ガモー YES! 食品業界は言い訳として、「選んでいるのは消費者である」という抗弁を用意しているんだ。企業側は強制しているのではなく、消費者が自分で選んで購入しているのだと。でも、至福点という業界用語やその実態は一般的には知られていない。企業側はどうすれば消費者たちが自社の食品にハマるかを、科学者たちを雇って緻密な研究を重ねている。このことを企業側はオープンにしていない。消費者が甘いジュースや甘い食べ物を大量摂取してしまうことを、企業側は消費者に責任転嫁していると言っていいんじゃないかな。

──至福点とは人間の欲望を掻き立てる数値。お菓子やジュース以外にも利用されているわけですね。

ガモー もちろんその通り。スープ、ソース、パン、ヨーグルト、シリアル……。いろんな食べ物や飲み物に至福点は使われている。フィラデルフィアの研究所で行なわれていた至福点の実験に立ち会ったけれど、そこでは低脂肪ヨーグルトのテストが行なわれていたんだ。子どもたちがたくさん集められ、少しずつ甘さを変えたヨーグルトを試食させられていたよ。子どもたちがいちばん美味しい、また食べたいと感じる甘さが至福点なんだ。そうやってヨーグルトの甘さは決められている。本当にものすごく細かい味覚実験が行なわれているんだ。

──テレビや映画はバイオレンスシーンや官能シーンを盛り込むことで視聴率や観客動員アップに結びつけていますが、これも広い意味での至福点だと言えませんか。

ガモー 科学者に聞いたんだけど、実際にセックスで感じる脳の喜びは、砂糖を摂取したことで脳内に分泌されるものと同じようなものらしいよ。セックスやバイオレンスがもたらす興奮は、砂糖を摂ることで感じる喜びと似たようなものだっていうことだね。現代社会は瞬間的にハイになれるものがもてはやされる傾向にあるわけさ。至福点という言葉は、資本主義社会を象徴しているものだと僕は思う。資本主義は利益さえ上げられれば、どんな犠牲を払ってもいいというのが基本概念。株主たちにその利益を還元するためのシステムとなっている。商品を売るために、あらゆる食品に糖分を入れることが正当化されている。でも、そのシステムは大きな欠陥も抱えている。今回、コーラ会社に勤めている社員たちも取材したけれど、彼らはとても温厚で人当たりがいい。ただし、彼らは自分たちが売ったコーラや清涼飲料水の影響で、豪州の先住民の集落を潰しかけていること、自国の若者たちの歯を虫歯だらけにしていることまでは気にはしていないんだ。

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