
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.365
願い事が呪いに変わる、もうひとつの“まどマギ”。オタク文化への偏愛と批評性『マジカル・ガール』
2016/03/10 17:00
#映画 #パンドラ映画館

アリシアがラジオを聴きながら朝食を摂っているシーンが序盤にある。お金を工面するために慌ただしく出掛けようとする父ルイスに「もう少し、一緒にいて」と頼む。このときルイスが娘のささやかな願いを聞き入れ、のんびりと一緒に朝食を楽しんでいれば、この物語に登場する人々の人生はそれぞれまるで違うものになった。アリシアの前に置かれたラジオは、ひとりの少女からの手紙を読み上げる。
手紙の少女は病院で過ごすことが多いが、病院での生活が大好きだという。病院食はおいしいし、病院の廊下の匂いも嫌いじゃないと。そして何よりもベッドで目覚めると、いつも父親がいてくれることがうれしいと。この手紙を書いた少女はアリシアだった。父親に感謝の気持ちを直接伝えるのが恥ずかしくて、ラジオ局に手紙を送ったのだ。
『マジカル・ガール』はメビウスの輪のような物語だ。いつか呪いは解け、目の前にあるささやかな幸せに気づくハッピーエンドの物語に変わるかもしれない。そのときバルバラは、人々に幸せを振りまく魔法使いとして明るい笑顔を見せているはずだ。
(文=長野辰次)

『マジカル・ガール』
監督・脚本/カルロス・ベルムト 出演/ホセ・サクリスタン、バルバラ・レニー、ルイス・ベルメホ、ルシア・ポジャン 配給/ビターズ・エンド PG12 3月12日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショ
Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados(c) http://bitters.co.jp/magicalgirl
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