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処女小説『最低。』インタビュー

“すごくダークネス”なAV女優・紗倉まなに聞いてみた「この小説、ホントに自分で書いたんですか?」

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■プライドを捨ててまでは……AV女優と“お金”の話

──第2章の「桃子」は、第1章にも登場したAV事務所の社長「石村」の視点を通して、女優のギャラの取り分や事務所経営のリアルな実態など、「AVとお金」の話が描かれます。「男性視点の話を入れる」っていうのは、もともとあったアイディアなのでしょうか?

紗倉 本当は社長の目線で書くつもりじゃなかったんですけど、男性ってどう思うのかな? って考えたときに、これは石村さんの目線で書いてみたいな、と。書いてみたら、男性視点のほうが書きやすかったです。自分より遠い人のほうが書きやすいみたいで、スピードは他の章よりも速かったと思います。

──その「石村」は、すごく女優本位な人格者として登場しますが、実際に、こんなにいい社長さんっているのでしょうか?

紗倉 私、名前を決めるときに友だちとか事務所の人から借りたりしていて、「石村」さんは、うちの社長が村石さんなので、逆にしてつけたんです。社長は「石村」さんとまるっきり同じ人格ではないのですが、やっぱり優しいというか、女優さんを大切に思っているのが伝わるときがあるんです。この仕事自体、怖い仕事と思われている部分もあるし、そういうのを払拭したいというか、こういう人も本当にいるし、こうあってほしいと願っている部分もあって。だから、とんでもなく「いい社長」を描きたいなと思って。実際、私が言われてうれしかったことも、ちょこちょこ入っているんですよ。

──その「石村」の心情として、「いつか日の当たる場所で、彼女たちが活躍する日も遠くない。根拠はないが、僕はどこかでそれを確信していた」という一節があります。紗倉さんにとって、「AV女優の日の当たる場所」というのは?

紗倉 難しいですね。たぶん人によって違うと思うんですけど、私としては「AV女優」を「セクシー女優」とわざわざ言い換えてまでテレビに出してもらえること自体は、昔に比べたらだいぶ私たちに日が当たってるなって思います。テレビに出られることって、ちゃんと扱ってもらえるっていう感があるなと。ただ、肩書きを換えられるのは、すごくイヤな部分ではあります。だから規制とかがどんどんなくなっていけば、もっともっとそういうのを実感していけますよね。あとは、たとえば街を歩いていて、声をかけてもらえるときも思いますね。暗い空間で見ていた人を、実際の“ナマモノ”として見かけたときに「あ、一緒だ!」と思ってもらえてるのかなって。そんなことを町中で思ったりしています(笑)。

──「桃子」では、お金目的でAVに来た女の子が仕事でもらうお金の“意味”のようなところにまで切り込んでいます。

紗倉 自分のお金は自分の身体を使って稼ぐということに誇りを持っていないと「桃子」みたいな態度はできないかなと思っていて。男の人が「お金をあげる」っていうのは、ある意味、愛情でもあるし、見下しでもあるじゃないですか。だから、お金に執着はしているんだけど、プライドと引き換えにできるものじゃないっていうのは、この章で伝えたかったことです。なかには、お金さえもらえれば、っていう人もいますけど、私は女性にはこうあってほしいなって思ってます。

──紗倉さんご自身も、それはもう稼いでいると思いますが、自分が稼いでいるお金と働いている感覚のバランスって、どうですか? もっともらってもいいと思うのか、もらいすぎなのか。

紗倉 いやいやいやいや……。でも、なんか、ちょうどいいかもしれないです。生活習慣が露骨に変わっちゃう人って、そういうことを感じやすいんだと思うんですけど、私は仕事を始める前の生活と変わっていないので、特にそれを感じることはないかもしれないですね。

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