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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム > 週刊誌スクープ大賞  > 週刊誌のSEX記事は続けるべき
週刊誌スクープ大賞

“ヘア・ヌード”生みの親が、悩める週刊誌に助言「SEX記事はやめるべきではない!」

【巻末付録】

 毎度おなじみなのでサラッといこう。ポストのグラビアは渡辺さんシリーズで、今回は「ヤギと渡辺さん」。艶色美熟女図鑑は「東凜さん29歳」。ポストはヌードをやめる方向に違いない。

 現代は「秋吉久美子 青の時代」「新100cm乳誕生 渡辺さとみ」。袋とじは早乙女愛 あなたを忘れない」。彼女は芸能界を引退してアメリカに渡るが、10年に死去しているそうだ。

 記事にいこう。ポストが「22人の熟女がナマ証言『あぁ、床上手なあの男性が忘れられない』」。女性たちの告白が延々と続く。

 現代のほうは「女子たちも知らない『女性器の秘密』」。本当に現代は女性器が好きだね。今週も超マンネリに深々と頭を下げて、引き分けだ。

 ところで、先々週「Will」編集長の花田紀凱さんに呼ばれてインターネットテレビ「言論テレビ」で、週刊文春の好調ぶりについて話し合った。やぼ用があって終わってすぐ別れたが、彼は今の会社を離れて、飛鳥新社に移籍するという。「Will」は文藝春秋出身の立林昭彦氏が就き続けるそうだから、花田さんは「Will」の路線を引き継ぎながら新しい雑誌を作ることになる。どうして離れたのか、今度会ったら聞いてみよう。

 話は戻る。文春がスクープを連発する力の源泉を2人で語り合ったが、その流れで、それにしても現代、ポストは元気がないという話になった。花田さんは、SEX記事やヘア・ヌードをやめることはできないのかと聞いてきた。私は、もはやヘア・ヌードは部数を増やすためではなく、部数の減少を少しでも食い止めるためにある。両誌の編集長は、やめたらどこまで部数が落ちるか怖くてやめられないのだと思うと答えた。

 以下は、そこでは話さなかった私の考えである。ヘア・ヌードやSEX記事をやめる必要はないと思う。だが、雑誌の顔である表紙の右側、新聞広告なら左側に「死ぬまでSEX」「女性器の秘密」と大書するのはやめたほうがいい。

 昔話で恐縮だが、私がフライデーの編集長になったときは「たけし事件」などがあって、200万部近くあった部数が60万部を切ろうとしていたと記憶している。

 20代の男女十数人に集まってもらって意見を聞いてみた。その多くが「フライデーを持っていると恥ずかしい」というものだった。そこでフライデーのロゴを小さくし(現在と同じ)、外国通信社の写真を使っていたのを、女優やそのとき話題の人物に変えた。宮沢りえ、マリリン・モンロー、マドンナなど。F1のアイルトン・セナは、最高にカッコイイものになったと自負している。

 表紙で買う人はいないが、表紙が嫌で買わない人はいる。フライデーも同じだが、今のようにSEXを連呼しているような表紙では、私のような面の皮の厚い人間でも、電車の中で取り出すのに躊躇する。政治や経済の記事を読みたくても、表紙が気になるのだ。

 SEX記事があることは、何度か両誌を買ったことがある人間なら知っている。表紙に入れず、目次を小さくしても、売れ行きは変わらないと思う。大物のヘア・ヌードでもあったときに特筆大書すればいい。そのほうが新鮮だし、その号は売れるに違いない。

 現代もポストも、SEX記事だけで売る雑誌ではなかった。両誌の持ち味、現代の週刊誌はどうあるべきかをもう一度考えてほしい。SEX記事もある週刊誌になるべきだと思う。ヘア・ヌードという言葉を創り、売りまくったやつの言うことかという批判は承知だが、あの時はヘア・ヌードだけが売り物の週刊現代ではなかった。
(文=元木昌彦)

最終更新:2016/03/07 21:00
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