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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 恐怖の婚活コメディ『ロブスター』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.364

独身者は収容所送りとなる恐怖の婚活コメディ! 『ロブスター』の男たちは居場所を見つけられるか

lobstermovie02口ベタな3人の独身男たちは収容所で意中の伴侶を見つけることができるか。ベン・ウィショー、ジョン・C・ライリーと共演陣も豪華。

 戦中・戦後のひとりで生きていくには厳しい時代とは違って、物質や情報が溢れている現代はひとりで暮らしているほうが気楽な社会だ。いつまでも独身生活を謳歌しているほうが、自由気ままで楽しい。でも、それでは結婚して子どもを育てる人間がいなくなってしまう。高齢者だらけになってしまう。国家崩壊の危機である。世論を煽って婚活ブーム&妊活ブームを促し、結婚率&出生率を上昇させる必要がある。『ロブスター』で描かれている世界は、決して絵空事の世界ではなく、現代社会をリアルに映し出した鏡の世界の物語なのだ。45日間でパートナーを見つけることができなかった者は、施設の一角にある「動物変換室」にて人間以外の生き物に換えられてしまう。SFチックな設定だが、子どものいない夫婦は白眼視され、独身者が居づらさを感じる現代社会は、ランティモス監督が描く『ロブスター』の世界と何ら変わらない。

 女性扱いが不得手なデヴィッドたち独身男3人衆は、期限が迫ってもなかなか意中のパートナーを見つけることができずに焦る。動物に換えられてしまうよりは結婚したほうがマシだと偽りの自分を演出して、独身女性に近づこうとする。でも結局、デヴィッドは偽りの自分を演じ続けることができず、施設から逃げ出すことになる。街に戻っても独身者はすぐに逮捕される。デヴィッドは他の独身者たちがそうしているように森の中へと身を潜める。

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