『カルト村で生まれました。』高田かやに聞く、村の生活、そして“家族”のこと――
#本 #インタビュー
■一緒にいたくてもかなわない存在、それが“家族”だった
――幼少期にご両親と一緒に過ごさなかったことは、今の自分にどのような影響を与えていると思いますか?
高田 村にいたとき、家族は「たまに会える、血のつながった人たち」「同じ名字の人たち」という関係でした。だからなのか、私、人との距離感がうまくつかめないんです。仲良くなっても別れるときのことを想像してしまうので、ショックが大きくないように、人とあまり深く付き合わないようにしよう……と、つい思ってしまいます。
――今に限らず、昔から親による虐待やネグレクトの事件は後を絶ちませんが、高田さんはこのような虐待やネグレクトについて、どのような考えをお持ちでしょうか?
高田 特定の考え方などは持っていないのですが……ただ子どもが外に立たされて凍死したニュースなどを聞くと、その子の気持ちを想像して泣きたくなります。
――作品の中で「今でも受けた体罰や暴言は忘れないし、たびたび考え込んでしまう」とありますが、それを思い出すのはどんなときですか? そのときに抱く感情は怒りですか? それとも恐怖?
高田 思い出すのはたいてい、夜寝つけないときや暇なとき、夢に世話係さんが出てきたときなどです。怒りも恐怖も今は感じませんが、「いまだに思い出す、夢に見るってことは、自分がまだその当時の出来事にとらわれて縛られてるってことなのかなぁ。いっそ、記憶喪失になって昔のことを忘れてしまえたら、この考え込むめんどくさい性格も変わるかなぁ」と、らちの明かないことを考えています。
――「村に戻りたいな」と考えるときはありますか?
高田 戻りたいと思ったことは、一度もありません。
――村に限らず、“カルト”と称される集団については、どんな印象を持っていますか?
高田 何か怖いイメージ。そういった集団と一生関係を持たずに過ごせるなら、それに越したことはないと思います。
――もし自分が村で育たなかったら……と想像することはありますか?
高田 その想像はしたことがありませんが、もし一般で今の両親の元に生まれたとしたら、きっともう少し勉強ができたんじゃないかなと思います。そして、ふさおさんと一緒になることもなかっただろうと思います。
――生まれたときから村で育った高田さんにとって、「家族」とはどんな存在でしょうか?
高田 一緒にいたくてもかなわない存在……かな。
(取材・文=西澤千央)
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