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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ヒルナンデスは芸人にとって金脈?
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第118回

オードリーがやらかした! 昼の情報番組『ヒルナンデス!』の向こう側

 そこで、オードリー同様、いや、それ以上にはじけているのが松本明子だ。松本といえば、やはり若林司会の『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)で「自己中で大問題ばかり起こしちゃった先生」として登壇し、「寮では全裸で生活していた」「よかれと思って、放送禁止用語を連呼した」「先輩の衣装をフリマで売った」「寝ている息子を密かに舐めた」などヤバいエピソードを語り、大きな話題になったばかり。だが、松本のヤバさは、すでにこのコーナーで早くから見せつけていた。

 たとえば、「ドケチ」ゆえ、下着もギリギリまで買い替えないという松本は、若干破れても使うと言いだす。さすがにそんなわけないと若林らが疑うと、今日も破れたブラジャーだと言い、若林を奥に連れて行き、実際にそれを見せるのだ。若林は、あまりのことに身をくねらせて爆笑。その横に、さも当たり前のような表情で立つ松本。毎回のようにそんなわけのわからないノリの、全編コントのような展開が続くのだ。

 恒例といえば、松本の「全力モノマネ」もすごい。毎回、「ドケチ隊」にモノマネを披露させ、合格なら試食などができるという流れがある。通常であれば、ここでオチ要員に使われるのは春日だ。だが、「ドケチ隊」では違う。意外と芸達者な重盛が割とちゃんとしたモノマネで「合格」すると、今度は春日。微妙なモノマネでスタジオが苦笑する中、ギリギリ「合格」。そして、最後に披露するのが松本だ。彼女はエド・はるみや永野、ですよ。、鳥居みゆき、天津木村といった抜群の人選の芸人たちのネタを全力で完全コピーするのだ。見たことがない人は、それがどれくらいのものかわからないかもしれないが、軽く見積もっても、その想像の倍以上の全力さだ。長きにわたってバラエティ界に生き続ける底力を見せつけるその全力さは、まさに圧巻。すごみすら感じさせる。だが、若林は食い気味に判定する。

「不合格!」

 とにかく、このコーナーずっとハチャメチャだ。

 いま、お笑い系の番組は、深夜を除けばほとんど見ることができない。特にお昼となれば、情報系番組ばかりだ。だからよく「お笑い芸人が本領発揮できる場所がない」などと言われる。だが、実はそんなこともないというのは、この「ドケチ隊」を見ればよくわかる。情報系番組は裏を返せば、しっかり情報さえ伝えれば、あとはある程度、自由が許されるもの。その制約の中で、いかに全力でふざけられるか。そこが芸人の腕の見せどころだ。冒頭のハプニングが単に「やらかした」というものではなく、心底笑えるのは、ルールの中で全力でふざけているからだ。
 
 最初からノールールでやりたい放題では面白くない。そのルールを全力ゆえに思わず踏み出してしまったから面白い。情報番組の“向こう側”には、お笑い芸人にとっての金脈が眠っているのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:42
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