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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 激安風俗店は“墓場”じゃない?
『性風俗のいびつな現場』著者インタビュー

“風俗の墓場”は勝手なイメージ!? デブ・ブス・ババア専門「デッドボール」に見る、激安風俗店の意外な可能性とは

――前例のないプロジェクトですが、「風テラス」の活動に対して批判はないのでしょうか?

坂爪 「風俗に入ってから支援しても手遅れではないか?」「風俗に入る前にすくい上げなきゃ意味がない」という意見がありました。でも、そこには、風俗に入ったら「終わり」であり、別世界に行ってしまったという偏見が働いていますよね。

――風俗を特殊な目線で眺めないから、デリヘルの待機所を支援相談の場所として捉えることができるんですね。ただ、お店側としては、そういった支援によって、女性に辞められてしまうリスクもあるのではないでしょうか?

坂爪 「風テラス」によって辞める人の数よりも、「風テラス」があるから安心して入店してくる女性の数のほうが多いんです。だから、店側のデメリットにはなりません。ソーシャルワーク側としては、困っている人を把握し、支援を届けられるというメリットがあり、店側には女性を求人するための宣伝効果になる。特に、デリヘルの中には、闇社会と結びついたイメージを断ち切りたいと思っている経営者も多いので、ニーズはあります。

――この活動によって、坂爪さんは何を目指しているのでしょうか?

坂爪 風俗とソーシャルワークを結びつけることで、デリヘルの待機所を貧困問題と戦う最前線の場所にしたいと考えています。それができれば、世の中に、風俗の社会的な意義を理解してもらえるし、風俗に対する差別や偏見も緩和できるのではないでしょうか。確かに、性風俗は女性を搾取する悪かもしれません。けれども、上から批判したり、非難したりしても、現状は変わらないんです。善悪の判断は一旦置いておいて、グレーのままに連携をすることが、彼女たちを支援する鍵だと思います。

――ただ、本書に書かれているような激安風俗で働く女性の裏側は、風俗で遊ぶ男性側としてはあまり知りたくないものですが……。

坂爪 男性としても、自分が利用しているお店の女性が、どういう背景や事情を抱えているのか考えて利用してほしいですね。遊んで、すっきりしておしまいではなく、こういう背景の人がいるから利用できていることを知ってほしい。もちろん、そんな背景を知ると萎えるという人もいるかもしれませんが……そこは頑張ってください(笑)。男性側にも、性産業を「守る」とは言わないまでも、理解して支えるという姿勢があってもいいのではないかと思います。
(取材・文=萩原雄太[かもめマシーン])

●さかつめ・しんご
1981年新潟市生まれ。東京大学文学部卒。在学中に、歌舞伎町の性風俗産業の研究を行う過程で、性風俗産業の問題を知る。卒業後、性に関するサービスを「関わった人全員が、もれなく幸せになる」ものにする=「性産業の社会化」をテーマに起業。2008年、「障害者の性」問題を解決するための非営利組織・ホワイトハンズを設立。
<http://www.whitehands.jp/>

最終更新:2016/02/22 10:56
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