深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.360
スクリーンから漂う初々しいフェロモンの香り! 嗅覚を心地よく刺激する『いいにおいのする映画』
2016/02/04 17:00
#映画 #パンドラ映画館
レイ(金子理江)は幼なじみのカイト(吉村界人)と久しぶりに再会。ようやく自分がやりたかったことに気づく。
純粋無垢な少女が夢見るファンタジーの世界が、ひと筋の血が流れた瞬間にダークファンタジーへと変調していく。ヴァンパイアものらしく、この後も官能的なシーンが用意されている。落ち着きを取り戻したカイトと照明の打ち合わせをしていたレイは、何気にロングヘアを束ねる。その瞬間、レイの透き通るような細い首筋があらわになる。白く柔らかいうなじを見せられたカイトは自制心を失い、再びレイにむしゃぶりつく。とてもエロチックなシーンだ。このとき、確かにスクリーンから匂いが溢れ出ている。レイ役を初々しく演じる金子理江のフェロモンがスクリーンごしにほとばしっている。カイトならずとも、この状況に置かれた男子は我慢できないだろう。レイの無防備さ、金子理江のイノセントさに観客は魅了されずにはいられない。匂いがテーマといえば、あの名作ファンタジーも思い出させる。原田知世主演作『時をかける少女』(83)もまたラベンダーの香りが重要なモチーフだった。
本作を撮ったのは1991年生まれという新鋭・酒井麻衣監督。オーディションで金子理江を主演に抜擢した酒井監督に、彼女の魅力について聞いてみた。
酒井「理江ちゃんのいちばんの魅力は純粋さでしょうね。オーディションで初めて逢った瞬間に『この子しかいない』と思いました。他の人なら言えないような『魔法が使えるようになりたい』という台詞でも、彼女なら自然と口にすることができる。うなじを見せるシーンは確かにセクシーですね。でも本人にはその自覚はまるでないと思います(笑)。例えて言うなら、花が咲く直前のかれんさとはかなさの両方を持ち合わせている感じでしょうか」
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