「それでも科学者?」責任転嫁、敵意むき出しの小保方晴子氏“告白本”に漂う空虚感……
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
今週の第1位も、甘利明大臣の首をとった文春の第2弾だ。まだまだ週刊誌には、底力があることを見せてくれたスクープだった。
文春が発売されると、議員宿舎でのオフレコ取材で菅官房長官は「一色氏はその筋の人らしいね」と発言し、自民党の高村正彦副総裁は「ワナを仕掛けられた感がある」などと、告発者を貶め甘利氏を擁護する発言を繰り返していた。
だが、屁のつっかい棒にもならなかった。確かにややうさん臭いところがある人物ではあろうが、甘利氏や彼の秘書どもが、一色武氏に食らいつき、貪ったことは間違いないからである。
そのへんのしたたかさは、一色氏のほうが甘利側よりなんぼか上であった。文春で一色氏はこういっている。
「実名で告発する以上、こうした攻撃を受けることは覚悟していました。その団体(某右翼団体=筆者注)に所属し、3年ほど政治活動していた時期もありましたが、私は過去に逮捕されたこともありませんし、“その筋の人”でもありません」
一色氏と甘利氏との関係は、金銭授受をする以前にさかのぼるという。
「私は20代の頃から主に不動産関係の仕事をしており、甘利大臣のお父さんで衆議院議員だった甘利正さんとも面識がありました。明氏と初めて会ったのは、まだ大臣がソニーに勤めていらっしゃった頃かと思います」
一色氏が、録音や渡したピン札のコピーなど、多数の物証を残してることについて、いぶかしむ声もあるが、こう反論する。
「口利きを依頼し金を渡すことには、こちらにも大きなリスクがあるのです。依頼する相手は権力者ですから、いつ私のような者が、切り捨てられるかわからない。そうした警戒心から詳細なメモや記録を残してきたのです。そもそも、これだけの証拠がなければ、今回の私の告発を誰が信じてくれたでしょうか? 万一、自分の身に何かが起きたり、相手が私だけに罪をかぶせてきても、証拠を残していれば自分の身を守ることができる。そして、その考えは間違っていませんでした」
覚悟が違うのだ。確かに、UR(独立行政法人都市再生機構)との交渉を有利に進めるために甘利氏の力を頼り、そのためにカネを配ったことは間違いない。
そうした腹づもりがあって、それがうまくいかなかったから、甘利側を告発するなど、あまりお行儀のいいやり方ではない。だが、それ以上に職権を乱用し、相手のカネにたかった甘利氏や秘書連中は断罪されてしかるべきである。
一色氏は、約1,200万円を甘利大臣や秘書たちに渡したと証言したが、それは確実な証拠が残っている分だけで、一色氏の記憶では、渡した金銭や接待の総額は数千万円に上るはずだという。
また、新潮も問題にしているが、現金授受現場の写真や甘利事務所がURとの交渉に関与している現場の写真を文春が掲載したことについて、文春はこう答えている。
文春が一色氏から、甘利事務所への口利きに関する具体的な話を聞いたのは、昨年8月27日のことだという。
その裏付けのため一色氏と秘書たちの行動確認を続けるうちに、彼らが行きつけの居酒屋からフィリピンパブへと流れる姿が複数回確認できたという。
そして10月19日、一色氏と清島氏が毎週ほぼ同じ時間に現れる喫茶店「F」で張り込んでいたところ、現金授受の瞬間をカメラでとらえることに成功したというのである。
一色氏は、結局、彼らにだまされていたことに気づき「彼らにとって私はキャッシュディスペンサーにすぎなかった」といい、「彼らはフィリピンパブやキャバクラ、銀座に行きたくなると、URの件で打ち合わせしましょうと私を呼び出し、金を支払わせるのです」とも語っている。
秘書の一人、清島氏はフィリピンパブ好きが高じて、一色氏と店を共同経営する話に乗り気になっていたそうである。
タカリだけでなく、あっせん利得処罰法に触れかねないURへの口利き、謝礼の授受現場の発言など多数の録音が残っているそうだ。
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