アンジェリーナ・ジョリー監督作がついに公開! 実録戦争サバイバル『不屈の男 アンブロークン』
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アンジェリーナ・ジョリーが撮った反日映画、原作には日本兵による人肉食についての記述がある、などと映画の完成前からネットや週刊誌上で過剰に騒がれた『不屈の男 アンブロークン』。ハリウッドの人気女優アンジェリーナの監督第2作として、米国では2014年12月に公開されたヒット作だが、映画を観ていない人たちによって“反日映画”の烙印が押され、日本での公開は見送られていた。米国ではユニバーサル映画として配給されたが、日本ではインディペンデント系の硬派な作品を扱うビターズ・エンドが配給することで米国での封切りから1年2か月遅れで日本でも上映されることになった。
最初に明言しておくと、本編中には日本兵による人肉食シーンはないし、反日映画として日本人の鬼畜ぶりを執拗に強調したシーンもない。ボスニア紛争を題材にしたアンジェリーナの監督第1作『最愛の大地』(11)でムスリム女性たちがセルビア兵に延々とレイプされるのに比べると、男しかいない収容所での暴力シーンはかなりあっさりしている。体育会系の部活経験者なら、「このくらいの折檻は戦時中はあっただろう」と想像できる程度の描写にとどめてある。それでも「反日映画だ、公開するな」というのなら、あらゆる戦争映画は日本で上映することができなくなってしまう。『アンブロークン』は反日映画ではないし、戦争映画というよりはイジメられっ子だった主人公の若者が陸上競技に生き甲斐を見出し、数々の苦境を乗り越える青春サバイバルストーリーとしてアンジェリーナ監督は撮り上げている。
本作の主人公ルイ・ザンペリーニ(ジャック・オコンネル)は、イタリア系移民の子として米国カリフォルニア州で生まれ育った実在の人物だ。小さい頃はイジメに遭うなど、戦争が始まる前からルイのサバイバル人生は始まっている。不良になることでイジメから逃れたルイだが、万引きの常習犯で警察の世話になりっぱなし。このままではまともな将来は待っていないと、陸上選手である兄ピートはルイも陸上のトレーニングに加わるように勧める。イジメられっ子で万引きの度に警察から逃げていたルイは忍耐力があり、逃げ足も速かった。競技場のトラックという自分の居場所をようやく見つけたルイは、めきめきと才能を伸ばし始める。1936年のベルリン五輪には高校生ながら米国代表として5000m走に出場し、メダルにこそ手が届かなかったもののラスト1周で驚異的なラップタイムを残す。1940年に開催されるはずだった東京五輪の有望選手として脚光を浴びる。
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