韓国社会を蝕む“精神的貧困”が原因か……韓国で急増する“理由なき”犯罪
#事件 #韓国 #東アジアニュース #河鐘基
1月26日、ソウル都心部を走る地下鉄の駅構内で、包丁を持った男が暴れるという事件が起きた。乗客は全員、すぐさま隣の車両に退避。幸いにもケガ人が出ることはなく、男は事件発生から1時間20分後に警察に逮捕された。男は「人が多くて嫌気が差した」と、犯行動機を語っている。
韓国ではここ数年、同じような通り魔事件が急増している。メディアが報じたところによると、2000~09年の間、同様の事件はわずか4件だったが、10年以降にはすでに100~200件近く起きているという統計もある。
韓国では、通り魔事件のことを“ムッチマ(聞くな)犯罪”と表現する。つまり、動機が不明瞭なまま行われる犯罪、というニュアンスになる。
ちなみに今回、事件を起こしたのはホームレスだった。現在、韓国の地下鉄構内には、警備スタッフらに監視、管理されているホームレスが100人ほどいるという。事件を起こした男は、その中でも“特別”に監視されていたトラブルメーカーだったそうだ。
事件当時、男は酒に酔っ払っていたようで、自暴自棄になって犯罪を起こした可能性が高いと、メディアは書き立てている。例えば、テレビ局YTNのニュース番組に登場した韓国犯罪学研究所研究委員は、通り魔事件とホームレスの関係について次のように指摘している。
「ホームレスは、正常ではないからホームレスなのだ。そしてそのホームレスの中には、アルコールを飲んで中毒になっている人や、自暴自棄になっている人が多い」
正直、専門家の発言としては問題があると言わざるを得ない。「ホームレスは正常ではない」という言い切り方もそうだが、深刻化する格差など、その背景についてはまったく言及していない。彼ら・彼女らがなぜホームレスになったのか、なぜ貧困状態に陥り、精神的に自暴自棄になったのか、その根を絶たなければいくらホームレスを必死に監視したところで、通り魔事件を減らすことはできないだろう。
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