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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 監視カメラ映像サイト批判は的外れ
ITライター柳谷智宣の「賢いネットの歩き方」第93回

話題の「監視カメラ映像見放題サイト」批判は的外れ! トラブル防止にパスワード変更を

webcamera.jpg「insecam.org」より

 先日、防犯や監視に使われているウェブカメラの映像が、海外のサイトから閲覧できるというニュースが流れ、話題になった。「insecam.org」というサイトを開くと、全世界2万カ所以上のウェブカメラの映像にアクセスできる。国別で見ると、アメリカが約7,400カ所で一番多く、2番目は約5,400カ所の日本だ。


 このサイトでは、実にさまざまなカメラの映像が閲覧できる。コンビニや公園、オフィス、工事現場、駐車場、コインランドリー、サーバールーム、畜舎など、いろいろなところのリアルタイム映像が表示されている。学校の教室や、歯科医院で治療中の患者なども見つかる。海外の匿名掲示板サイト「4chan」では、ウェブカメラの映像をみんなでチェックし、面白そうな映像をさらしているスレッドがある。その中で、お寺でお坊さんが数人でお経をあげている映像を見た外国人が、「アニメだけじゃなくて、現実にこんな光景があるのか」と驚いていたのが面白い。もちろん、数は少ないが、自宅のプライベート映像が流出しているケースもあった。

 これは別に、サイトの運営者が敏腕ハッカーというわけではない。IPアドレスを片っ端からチェックし、アカウントが「admin」という初期設定になったままのカメラに接続しているだけだ。つまり、ユーザー自身がウェブカメラの映像を堂々と全世界に公開していたということ。これは不正アクセスでもなんでもない。

 カーテンも窓も開けて部屋の中で全裸になり、偶然通行人と目が合ったからといって、その人を責められるだろうか? ちなみに、アメリカではこのような場合、部屋の中で裸になった人のほうが逮捕され、罪に問われる。

 ユーザー自身が遠隔地から映像にアクセスできるということは、アカウント情報さえあれば、ほかの人もアクセスできるということ。それなのに、なぜデフォルトのパスワードを使おうとするのだろうか? 「別に見られてもいい」というなら、いいだろう。しかし、自室のベッドの上に全裸で立ち、ひとりで騒いでいるような映像を、見られていいはずがない。もし、ウェブカメラを運用している人は、パスワードを再チェックすることをお勧めする。

 ちなみに、このようなトラブルは、IoTが普及するにつれ、次々と発生するだろう。ネットにつながっているものは全世界に情報を漏洩しているもの、と考え、被害に遭わないように賢く運用してほしい。
(文=柳谷智宣)

最終更新:2016/01/28 18:00
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