アカデミー賞作品の反証ドキュメンタリーが公開! “反捕鯨”に潜む禁忌『ビハインド・ザ・コーヴ』
#映画 #インタビュー
太地町に八木監督は4カ月間にわたって滞在し、『ザ・コーヴ』の公開によって町がどんな状況に陥ったかを伝える。イルカ漁が始まる9月になると、町には外国人がいっきに増える。観光客ではなく、シーシェパードをはじめとする反捕鯨・反イルカ漁の活動家たち、イルカ漁の様子を取材にきた様々なメディア、さらに『ザ・コーヴ』を観て「イルカたちを救いたい」と純粋な気持ちから自費で訪れてきたボランティアの外国人も少なくない。それまで穏やかだった海辺の町に緊張感が走る。その様子を映していた八木監督の顔に向かってカメラを押し付けてくる外国人もいる。『ザ・コーヴ』の公開直後には太地町の漁師たちが同じような目に遭った。漁師たちをカメラで執拗に追い続け、惨めな気持ちにさせることを目的とした行為だ。シーシェパードのリーダーの「撮影されたくないなら、別の仕事を探せばいい」という問題発言も八木監督のカメラは収めている。『ザ・コーヴ』が公開されたことで、太地町は活動家やメディアにとって格好の標的となり、町の人たちは外国人やカメラに対して不信感を持つようになった。一本の映画が与えた影響力をまざまざと見せつけられる。
八木「ひとりで取材し、編集、公開に至るまでは苦労の連続でした。でも、撮影クルーを連れずに女性ひとりだったので、シーシェパード側も警戒心を持たずに取材に応えてくれたように思います。太地町滞在時に『ザ・コーヴ』の主人公だったリック・オバリ氏を取材することもでき、またスカイプでルイ・シホヨス監督をインタビューすることもできた。最初は短編映像としてネット上にアップできればいいかなくらいの考えだったんですが、反捕鯨運動のキーパーソンになる人物たちから次々と重大コメントを聞き出すことができたので、これは映画にして多くの人に観てもらおうと決めたんです。正直にいうと太地町の漁師の方たちのほうがカメラに対してアレルギー反応があり、反捕鯨家たちよりも取材するのが困難でした。そこは粘り強く、毎日通い続けることで聞き出しました。『お金目的でカメラ回しているんだろう』なんて言葉も投げ掛けられもしました。貯金は全部使い果たしたんですけどね(苦笑)。でも、イルカ漁が行なわれていないときの太地町は本当に明るくて穏やかな町。誰から頼まれたわけじゃないんですけど、明るい町に戻したいなという一心で取材を続けたんです」
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