中居正広という、世界にひとりだけのMC 日本テレビ『ナカイの窓』(1月22日放送)を徹底検証!
#ジャニーズ #SMAP #中居正広 #相沢直 #タレント解体新書
2016年の芸能界は、1月から騒がしい。数多くの芸能ニュースやスキャンダルが立て続けに起きているわけだが、その中でも日本国民が固唾をのんで見守ったのがSMAPの解散報道だろう。連日、テレビや新聞はトップニュースとして取り上げ、1月18日に放送された『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)では、緊急生放送としてメンバーの肉声を伝えた。そこで何が行われたのかは、すでに皆さんの知る通りだ。
いったい何が正しいのかとか、誰がどうしてどうなったのかなどということは、ここでは述べない。そんなことを書いていても、キリがないだろうから。その代わりにここでは、SMAPの中居正広が、いかに特別なMCであるかを書き記してみる。
1月20日に放送された『ナカイの窓』(日本テレビ系)は「ラッパーSP」と題して放送された。この番組がいつ収録されたのかは知るよしもないが、そこにはいつもの中居がいた。だって、一言目からこうだ。
「いろんなテーマありましたけど、一番不安ですね」
中居のMCとしての特殊性は、この一言に集約されていると言っても過言ではないだろう。番組の冒頭で、不安である、という本音を伝えるMCなんてほかにはいない。これこそが中居のMCの特殊性であり、そして大きな魅力のひとつだ。中居は、テレビの内側にいるにもかかわらず、テレビの外側にいる私たちと同じ目線でその場を享受する。
この日のゲストは大地洋輔(ダイノジ)、入江慎也(カラテカ)、LUNA、m.c.A・T、R-指定という5人。ラッパーSPにもかかわらず、芸人が5人中2人を占めている。かつ、LUNAはタレントとして、m.c.A・Tは大御所として知られている存在であるから、視聴者は純粋なラッパーとして捉えるわけではない。おそらく、コアなヒップホップのファンや現役のラッパーが見たら、首をかしげるメンバーだろう。
それをギリギリの線で、テレビとしてショーアップするのは中居だ。自身、歌手でありエンターテイナーであるにもかかわらず、「ラッパーに向いている」と言われたら立ち上がって「ヨーヨーヨーヨーヨー!」と声を上げ、おかしなポーズで「ティピラッピー!」と叫ぶ。やっていることは、そこら辺にいる大学生とほぼ変わらない。だが、スターである中居がそれをやることによって、視聴者は安心して、その場を楽しむことができるようになる。
思えば中居がMCを務める番組が、スベっているのを見たことがない。それは、中居が視聴者と同じ目線、視聴者と同じ視点を持っているからだ。この日の番組でもゲストがフリースタイルに挑戦し、R-指定は見事なラップを披露するが、芸人たちのラップはうまくいかない。さすがに、微妙な空気が流れる。普通のMCであれば、なんとかしてその状況を壊して面白くするであろうところで、中居は冷静な表情を浮かべてこう告げるのだ。
「R-指定いなかったら、今日どうしてた?」
それは、視聴者である私たちの気持ちと、まったく同じだ。中居は番組のMCでありながら、それを口に出す。何があっても、どんなときでも、視聴者の目線、視聴者の視点を欠かすことがない。
緊急生放送となった『SMAP×SMAP』では、これまでSMAPを見てきた視聴者からのメッセージが読み上げられた。そう、確かに私たちは、ずっとSMAPを見てきた。テレビの真ん中で、エンターテイナーとして輝くSMAPのことを。だが、中居に関しては、それだけではない。中居は私たち視聴者と同じ目線、同じ視点でテレビを見ていて、つまり私たちは中居を見ながら、同時に中居と同じものを見ていた。これまでずっとだ。中居が笑うときに私たちは笑い、中居が涙するときに私たちは涙し、中居と同じテレビをずっと一緒に見てきたのだ。だから中居を思い浮かべるとき、私たちは特別な気持ちになる。中居がテレビを楽しめないなら、それは私たちもまたテレビを楽しめないということでもあるから。
テレビが、芸能界が、アイドルが、夢を見せることができないのなら、存在意義なんてどこにもない。中居には、テレビの中で笑っていてほしい。そのとき私たちは、彼と同じ笑顔で笑っているだろう。
【検証結果】
『ナカイの窓』で大活躍を見せたラッパー、R-指定に、中居はこう言った。「今日、本当、いてくれてありがとう」と。それは、まさに私たちが中居に対してずっと思っていたことであり、そしてこれからも、言い続けたいと願っている言葉だ。
(文=相沢直)
●あいざわ・すなお
1980年生まれ。構成作家、ライター。活動歴は構成作家として『テレバイダー』(TOKYO MX)、『モンキーパーマ』(tvkほか)、「水道橋博士のメルマ旬報『みっつ数えろ』連載」など。プロデューサーとして『ホワイトボードTV』『バカリズム THE MOVIE』(TOKYO MX)など。
Twitterアカウントは @aizawaaa
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