国の危機に便乗して就活!? 北・核実験に韓国若者1,000人が「徴兵延長」を志願
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北朝鮮が行った4回目の核実験に対して、兵役中の若者たちがとあるアクションを起こしている。韓国軍当局が発表したところによると、水爆実験後、陸軍兵士900人、海軍兵士150人、合わせて1,000人以上が兵役を延長することを志願しているというのだ。
昨年8月、北朝鮮軍が設置した地雷が爆発し、韓国軍兵士に死傷者が出た際にも、韓国では同じような現象が起きている。が、当時、志願したのは約100人。今回は、その10倍だ。
単純に韓国人は愛国心が強いとも考えられるのだが、兵役続行志願急増の背景には、韓国社会固有の事情も見え隠れする。というのも、韓国では昨年、「ヘル朝鮮」(参照記事)など、自国を卑下または皮肉る言葉がいくつも流行した。自国の格差や政治の腐敗などを批判する声は後を絶たず、「韓国では生きていけない」と嘆く若者は少なくない。そんな一般社会の動向と、愛国心による兵役延長の報には距離がある。元韓国軍特殊部隊関係者は、志願が相次いだ事情について次のように明かす。
「純粋に、愛国心から徴兵を延長した若者も少なくないと思います。兵役中は一般社会と隔離されるので、愛国的な心情に傾く兵士がいてもおかしくない。ただ一方で、軍隊は最近、若者にとって人気の高い就職先になっているという事情もある。公務員として、安定した職場なのです。兵舎や設備なども、ひと昔前とは比べものにならないほどよくなっており、大学出身のエリートがどんどん入隊しています。1,000人のうち何割かは、軍隊で実績を積んで、安定した職場を確保したいと考えているのでは」
韓国社会では、兵役生活を避けた男性は非難の的になる。逆に、しっかりとお国に奉仕した人々は社会で評価を得ることができ、その後の就職にもプラスになるといわれている。今回志願した兵士たちが軍に就職しなかったとしても、退役後のライフプランにはメリットしかない。もし「君は、あの時に志願した1,000人のうちのひとりか!」とウワサにでもなれば、周囲にアピールする武勇伝や材料にもなる。
韓国で急増する自国を嫌悪する若者と、愛国心が強い若者。もしかするとその2つは、韓国社会の問題が生んだ双生児なのかもしれない。
(取材・文=河鐘基)
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