「1人のバカが変えていく」『人生のパイセンTV』が壊す、窮屈で退屈でマンネリなテレビ
#ベッキー #オードリー #テレビ裏ガイド #てれびのスキマ #若林正恭
その上で、番組MCの若林やベッキーからも「2部構成」とイジられるように、VTR後半は一転し、自分がチャラくなった理由や思いが静かに真面目に語られる。チャラさを笑っていたら、時にうっかり感動させられてしまったりさえする。VTRを見終わった後、なんだか味わったことのない、新しい心地よさがあるのだ。それは「バカ」をバカにしていないからだろう。
2015年の好不調を頭の中でグラフにした時に、このレギュラー番組が始まった10月からクイッと上向いたことを告白し、
「私、ホントにこの番組と出会えて幸せ!」
と、は思わず口にしたベッキー。2人は、このグラフのクイッと上向いた部分を“パイセン坂”と命名し、若林も少し照れながら同意して言う。
「俺も悔しいよ。俺もパイセン坂あんだよ。パイセン坂を上がることで、ほかの仕事も良くなるみたいな。たぶん、人生のピークだったと思う、2015年は」
かつて卑屈で、何に対してもナナメ目線だった若林が、この番組では心から楽しんでいる。
「ホントに俺、ずっと人生つまんなかったんだけど、めっちゃ楽しかったもん、2015。全部の仕事楽しくって!」
ベッキーに至っては、この番組の収録がある日に予定を聞かれ、「オフ」だと無意識に答えてしまったこともあるという。「仕事」だという感覚がなかったのだ。若林もまた、「高速に乗る時の(浮かれた)気持ちが、『パイセン』(の収録へ)行く時とゴルフ行く時は一緒」だと笑う。いい意味で「遊び場」感覚なのだ。
かつてフジテレビの名プロデューサー・横澤彪は『オレたちひょうきん族』を作る際、「スタジオは遊び場だ」と宣言した。それによってアドリブが飛び交い、本来NGになるようなハプニングを笑いに変え、躍動感あふれるイキイキとした番組になった。その精神こそ、“フジテレビ的”なものだ。弱冠29歳の萩原啓太にも、その血は確実に受け継がれている。マイアミ・ケータを名乗り、積極的に画面に登場するのも、その表れだろう。
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