テレビウォッチャー・てれびのスキマが選ぶ、2015年のテレビ事件簿【ドラマ編】
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2015年のドラマを振り返る際、真っ先に挙げなければならないのは『下町ロケット』(TBS系)だろう。多くのドラマが視聴率1桁台と2桁台の境目でもがいている中、20%超えする回もあるなど、高視聴率を獲得。いわば、ひとり勝ち状態だった。
これには、さまざまな要因がある。中でも大きいのは、伊與田英徳プロデューサー&福澤克雄演出というチームの完成度が、いよいよ円熟されたということだろう。吉川晃司や立川談春、今田耕司といった、意外で新鮮味のあるキャスティングを勧善懲悪のわかりやすい物語と特徴的な演出で生かしている。
そんな2015年のドラマを、視聴率とは別に振り返ってみたい。
■今年の一本
2015年の1本を選ぶならば、『デート~恋とはどんなものかしら~』(フジテレビ系)ではないだろうか。杏と長谷川博己を主演に迎えた「月9」ドラマ。だが、古沢良太が脚本を担当しているだけに、一筋縄ではいかない恋愛ドラマだ。
自称「高等遊民」を名乗るニートの谷口(長谷川博己)と「リケジョ」で徹底した合理主義の依子(杏)は、共に恋愛を否定する「恋愛不適合者」。彼らの会話がそのまま恋愛ドラマへの批評にもなっていて、にもかかわらず、恋愛ドラマの代名詞ともいえる「月9」で放送しているのが痛快だった。
しかも、古沢が巧みなのは、それを王道の恋愛ドラマのフォーマットの中で描いていることだ。恋愛を否定する者同士が価値観をぶつけ合わせながら、拒絶したり受け入れたりする。それは、まさに「恋愛」そのものだ。
さらに『デート』は、「2015夏 秘湯」として続編のスペシャルドラマを放送。連ドラ版で恋人同士になった後の、プロポーズして結婚するまでを描いた。「2015夏」とサブタイトルがついているからには、今後「2016」「2017」……と新婚編、出産編、子育て編と長く続いてほしい作品だ。
また『ど根性ガエル』(日本テレビ系)は、河野英裕プロデューサー&岡田惠和・脚本のコンビがこれまで作ってきたドラマの集大成のようだった。松山ケンイチはもとより、満島ひかりのピョン吉役(声)、「~でやんす」という口調にまったく違和感がないという勝地涼などのキャスティングも見事だった。今後、同じ座組・キャストでシリーズ化してほしいドラマだ。
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