『THE OUTSIDER』引退“濱の狂犬”黒石高大、ラストファイトは失神負けも「前を向いていく」
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そして、客席にいた母親に向かって「産んでくれて育ててくれてありがとう」と感謝の言葉を述べたあと、啓之輔にも礼を言い、観衆に向かって「押忍! 押忍! 押忍! 押忍!」と挨拶して頭を下げた。
最後は主催者の前田日明がマイクを握り、「黒石、お疲れさん。まぁトンマで、今日の試合も落ち着いていけばできたのに、テンパっちゃって、このようなドジをするんですけど。芸能界に行っても、どうぞ応援してやってください。お願いします」と親心満載のコメントで締めくくった。
* * *
試合の数日後、黒石に電話取材をした。
――今の心境は?
黒石 心にポッカリ、穴が空いてる感じです。20代のほぼすべて、朝から晩まで情熱を注いできた格闘技がなくなっちゃいましたから。
――試合の記憶はありますか?
黒石 ありますよ。チョークががっちり決まっちゃって、「あぁ、これは抜けられそうにないな」って。遠のく意識の中、「俺ってダセえよなぁ」って思いました。
――最後までタップをしませんでしたね。
黒石 チョークで締め落とされるぐらいじゃ死にはしないから、タップはまったく考えなかったです。「落とすなら早く落としてくれよ」って感じでしたね。
――敗れはしましたが、黒石選手の戦いぶりに感動している観客も多かったです。
黒石 いやいやいや、あんな試合で感動って、どんだけ安く見られてるんだって!(笑)
――悔しいですか?
黒石 悔しいですけど、うつむいたって何も変わらない。だったらもう居直って、前を向いて、突き進んで行くしかないですね。
18戦7勝8敗2分1ノーコンテスト。格闘家人生は一つ負け越しで終わったが、負けの悔しさを知っていればこそ、これからの演技にも一層の深みが出ようというもの。役者人生はすでに本格始動しており、来年のゴールデンウィーク公開の『テラフォーマーズ』のほか、複数の大作への出演も決まりつつあるようだ。四角いリングから四角いスクリーンに舞台を変えて、黒石は今後も戦いを続ける――。
(取材・文=岡林敬太/撮影=長谷英史)
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