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日本“未解決事件”犯罪ファイル

2歳の息子の前で首を切られて絶命……殺害現場に残された“別の女性”の血痕

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 何かが狂ってしまった現代社会。毎日のように流れる凶悪事件のニュースは尽きることを知らない。そして、いつしか人々はすべてを忘れ去り、同じ過ちを繰り返してゆく……。数多くある事件の中でも、いまだ犯人・被疑者の捕まっていない“未解決事件”を追う犯罪糾弾コラム。数多くある事件の中でも、いまだ犯人・被疑者の捕まっていない“未解決事件”を追う犯罪糾弾コラム。

第27回
名古屋市西区主婦殺人事件
(1999年11月)

 愛知県名古屋市の中心部から、約4km北上したところに位置する西区稲生町。日本のどこにでもありそうな、ごく普通の閑静な住宅街だ。2丁目には本殿に犬の石像を祀った伊奴神社(いぬじんじゃ)があり、戌年には全国から多くの愛犬家が参拝に集まる。事件が起きたのは、神社から徒歩3分ほどの3階建てアパートの2階にある一室。被害者・高羽奈美子さん(当時32歳)の遺体を発見したのは、住人に柿を配るために各部屋を訪れていた大家だった。

 1999年11月13日午前9時頃、仕事に出かける夫・悟さん(当時43歳)を見送った奈美子さんは、2歳の息子・航平くんを連れて午前11時10分に近所のクリニックに来院(午前9時半ごろに宅配業者が自宅を訪問したが、不在扱いとなっている)。その約40分後には部屋に戻ったとみられているが、午後0時半から午後2時の間に友人が3回も電話をかけているものの、応答はなかったという。

 さらに、正午までアパートの駐車場で洗車をしていた住民が不審者らしき人物を目撃しておらず、別の部屋の住人が正午から午後1時くらいの間に「ドスン」という大きな物音と、階段を駆け下りる足音を聞いていることから、犯行時刻は“正午過ぎから午後1時”に絞られることになる。

 大家が高羽さん宅を訪れたのは、午後2時ごろ。奈美子さんがいつも在宅していることを知っていたのか、それとも直感的に何かを感じたのか。呼びかけに応じなかったため、ドアのノブを回してみると、鍵は閉まっていなかったという。そして、ドアが開いた瞬間、大家は信じられない光景を目にすることになる……。玄関を入ってすぐ先の廊下に、トレーナーとジーパン姿の奈美子さんが血だらけで倒れていたのだ! 大家はすぐに119番通報したが、警察が到着した時点で奈美子さんの死亡を確認。現場の状況から「他殺」と断定された。

 警察の発表によれば、奈美子さんは洗面所で首に致命傷を負った後、台所まではって行き、そこで絶命。その手の先には、無邪気に遊ぶ航平くんの姿があったという(大家の証言)。瀕死の状況の中、我が子を守ろうという“母親の愛の形”が、そんな凄惨な現場にも残されていたのである。悲報を受けた夫・悟さんの心情は察するに余りあるが、幼い息子が無傷で生きていたことが、いくばくか彼の痛みを和らげたことを願いたい。

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