世界一のプレイボーイが“ヤリチン”から卒業か!? 男が生き方を改めるとき『007 スペクター』
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代替わりの度にボンド像は軌道修正が加えられてきたが、過去いちばん顕著だったのは2代目ボンド、ジョージ・レーゼンビーが唯一主演した『女王陛下の007』(69)だった。このときの2代目ボンドはピンチを救ってくれたテレサ(ダイアナ・リグ)と結婚式を挙げ、ハネムーンに出掛ける。生涯独身だと思っていたボンドが身を固めたことに、当時のファンは驚き、またあまりのサプライズなエンディングに『女王陛下の007』は興行的にコケてしまった。ニューシネマ風味のドラマとしては高く評価できる『女王陛下の007』だが、ファンの間ではなかったことになっている。当時は支持されなかった、ひとりの女性を愛したことで欠番扱いとなっていたボンド像を、サム・メンデス監督は現代的にリブートした格好だ。
長年のファンが観ても楽しめ、女性層も納得できる『007 スペクター』は非常に完成度が高い作品だが、でもそれゆえに一抹の侘しさも覚える。かつてのボンドたちがセクシーなボンドガールたちを相手にハチャメチャしていた頃の能天気さが胸に去来する。男が生き方を改めるとき、男は一瞬だけ過去を懐かしむノスタルジックな想いに駆られる。
(文=長野辰次)
『007 スペクター』
監督/サム・メンデス 出演/ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ、ベン・ウイショー、ナオミ・ハリス、デイヴ・バウティスタ、モニカ・ベルッチ、レイフ・ファインズ
配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 12月4日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
SPECTRE (c) 2015 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc., Danjaq, LLC and Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.
http://www.007.com/spectre
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