“妖怪モノの本場”は建国と共に消滅!? 中国で『ゲゲゲの鬼太郎』の知名度が低いワケ
#中国 #東アジアニュース #孫向文 #チャイナめった斬り
こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
11月30日、妖怪漫画の大家・水木しげる先生が、多臓器不全のため永眠されました。この訃報は大々的に報道され、多方面からお悔やみの言葉が寄せられていますね。
一方、中国に目を向けると、今回の訃報はほとんど話題になっていません。多くの日本漫画が中国で人気なのに、意外と思われるかもしれませんが、これには確固たる理由があるのです。
『西遊記』や『封神演義』、また、漫画やアニメによく登場する「龍」や「朱雀」の影響から、日本では中国は妖怪ファンタジーの本場というイメージがあるようですね。『ドラゴンボール』『うしおととら』といった日本の名作漫画も、中国の妖怪話が元ネタになっています。そのため日本の皆さんは、今でも中国では妖怪をテーマにした作品が多数作られていると想像されているかもしれませんが、事実は異なります。中華人民共和国成立以降、中国は共産党による一党独裁体制が続いています。中共が掲げる共産主義は、宗教を「人を惑わすアヘン」として禁止しており、現在の中国では妖怪や精霊など、宗教を連想させる超自然的なキャラが作品に登場する機会はほとんどありません。
80年代に中国で日本製アニメが解禁された際も、『ゲゲゲの鬼太郎』など水木しげる作品は放送されませんでした。中国版Twitter「微博」の反応を見ても、「鬼太郎や目玉のおやじなどのキャラしか知らない」「今から水木先生追悼のため、ネットでアニメを見ます」など、大半のユーザーが水木作品を視聴したことがない様子でした。
水木作品以外にも、日本には妖怪をテーマにした作品が数多くありますが、それらが中国で人気を呼ぶことはほぼ皆無です。例えば、中国に住む僕のいとこの息子(4歳)は、日本の子どもたちには大人気の『妖怪ウォッチ』を知りません。幼稚園や小学校などでも、まったく話題となっていないのです。中国では、日本の作品のキャラを無断盗用したグッズがよく作られますが、「ジバニャン」や「ウィスパー」をモチーフにしたものはほとんどありません。『夏目友人帳』や『ぬらりひょんの孫』といった作品も、コアなアニメマニアの間では人気を博していますが、一般層にはまったく知られていません。
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