“中流階級のガラパゴス芸人”タイムマシーン3号「尖ってるやつには勝てないと、やっと気づいたんです」
#お笑い #インタビュー #M-1
■転機となった、太田プロへの移籍
関 あと太田プロさんに入って、先輩からいろいろなアドバイスをもらえたことも大きかったです。「ウケるんだから、ウケればいいんだよ」と。
――2年前に太田プロ所属になって、その前はアップフロント(※モーニング娘。ほかが所属)でしたよね。やっぱり、環境は変わりましたか?
山本 ぜんっぜん違いますね。「早くお笑いでトップ取れるよ」って言われて入った事務所で、僕らお山の大将でした。ただ、その山が盛り塩みたいな山で。
関 初日にトップだったね(笑)。
山本 願書出したら、トップだった。
関 だから、ほかの芸人さんたちの生き方とは、ちょっと違ったと思うんですよね。
――お笑いの先輩もいなかった?
山本 いないです。兵藤ゆきさんが、唯一の友達でしたから。
――ゆき姐!!
関 たまにアドバイスくれるのが、堀内孝雄さんとか。
――……堀内さんは、どういうアドバイスを?
山本 「ありがとうございました」を、もっとちゃんと言いなさいとか。「サンキュー!!」から来てるんでしょうね。そういう環境から、ダチョウ倶楽部さん、有吉弘行さん、土田晃之さん、劇団ひとりさん……ですよ。僕ら太田プロに入って「できないこと」を知りました。あまりに才能ある人ばかりがいるから。このジャンルは、この人にはかなわない、じゃあこっちか……とか。
――そういうことは、わかったほうがいいんですか?
山本 全部行けるんじゃないかという希望よりも、これからはあきらめていく作業なんじゃないかっていう気もして。可能性がないことを知っていく。ダチョウさんにはなれない、有吉さんにはなれない、土田さんにも劇団さんにも……。
関 (片岡)鶴太郎さんは?
山本 ……イケんじゃないすか?
関 一番やめろ、バカ。
山本 筆さえいただければ。
――前事務所に13年、太田プロさんに2年……。
関 ホント、ガラパゴス芸人です。独自の進化を遂げてきました。
――でも、タイムマシーンさんは前事務所時代、NHK『爆笑オンエアバトル』の数少ない満点芸人だったわけですよ。
山本 オンバトっていうのは、僕らの中ですごく大きいウェイトを占めていました。いい悪いとか全然わからなかったし、それで仕事もらっていたのは確かなんですけど、オンバトの満点というのは「100人に嫌われなかっただけ」という結論に達したんですよね……。
――というのは?
山本 100人が面白いって思ったわけじゃなくて、100人が嫌じゃないっていう判断での満点。できるだけ嫌われないようにしての満点だったんです。
関 すごい媚びてたんですよね、たぶん。
山本 オンバトで落ちた芸人さんが、どんどん違う大会で活躍し始めるんです。それを見て、「ちょっと待てよ」と。うちらお客さんにはウケてるけど、先輩やテレビを作っている人たちには受け入れられてないんだなって。どの世界もそうだと思うんですけど、賛否が出ないとダメなんですよ。
関 そこで迷いだすと、ウケていても「ウケるのがダメなのか」とか考えだしちゃう。
――でも、そこで腐らずに15年やるって、すごいことだと思います。
関 太田に来て「芸人さんって、面白い人ばっかりだな」って当たり前のことがわかって、わかったからこそ、ネタに関してはシンプルに考えようって思えました。M-1は、ラストイヤーということもありますし。
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