名古屋大生殺人事件から1年……止らない「人を、殺してみたかった」という“いびつな願望”の連鎖
#本 #凶悪犯罪の真相
殺人は、少女にとって幼い頃からの夢だった。彼女は、小学生の頃から殺人願望を抱いており、犯行に使われた手斧は、中学生の頃に購入したもの。犯行後、彼女は仙台の実家に帰省しているが、その際にも、手斧を肌身離さず持っていた。犯行に使われた凶器が決定的な証拠になることは、火を見るよりも明らか。しかし、彼女は「そう簡単に“宝物”は捨てられないし、いつも身近に持っていたかったんです。大事なモノは肌身離さず持ち歩く。当たり前じゃないですか」と、取調官に向かって平然と言い放ったのだ。
「幼い頃から、人を、殺してみたかったんです」
「殺した時は、やった、という気がしました」
「人を殺して、達成感があった」
少女の供述からは、反省の弁ではなく「夢」をかなえた喜びだけが聞こえてくる。さらに、逮捕後の取り調べによって、さまざまな余罪があることが明らかになっていく。
高校時代には、同級生の男子生徒に対して硫酸タリウム入りのジュースを飲ませ、失明寸前に追い込んだ。劇薬ながら、無味無臭で水にも溶けやすいタリウムの投与は、周囲に気づかれにくい。男子生徒は、原因不明の体調不良として処理された。校内では彼女の犯行を疑うウワサも流れ、病院側からも学校側に「特殊な薬物が使われた可能性が高い」といった通報がなされたものの、「受験シーズンが控えており、(生徒たちに)動揺を与えたくない」という保身とも取れる対応で、学校側はこの事件を内々に処理してしまったのだ。
さらにこの事件の前にも、少女は一緒にカラオケへ行った中学時代の同級生に対してタリウムを投与していた。同級生の入院中、少女は病室に見舞いに訪れているが「見舞いはタリウム投与の効果を見極めるために行っただけで、意外と元気でがっかりしました」と供述している。また、森さん殺害後の1月には、帰省中の実家近くで「焼死体を見てみたかった」という動機から放火事件を起こしている。
一連のタリウム事件の背景には、2005年に母親にタリウムを服用させ、殺害しようとした静岡女子高生母親毒殺未遂事件の影響が色濃い。酒鬼薔薇の犯行声明文を持ち歩き、「秋葉原の事件現場に行きたい」と語る少女は、まるで、アイドルに恋い焦がれるように犯罪者たちへのシンパシーを寄せる。その動機は、恨みでも衝動でもなく、快楽ですらない。ただ、少女は憧れのセンパイたちのように、人を殺して凶悪犯罪者の仲間入りをしたかっただけなのだ。
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