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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 濱田岳が初主演で引き継いだバトン
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第110回

王道復活! 濱田岳『釣りバカ日誌 ~新入社員 浜崎伝助~』で引き継がれた三枚目俳優のバトン

tsuribaka1104テレビ東京系『釣りバカ日誌 ~新入社員 浜崎伝助~』公式サイトより

 植木等主演の『ニッポン無責任時代』をはじめとする「無責任シリーズ」、渥美清主演の『男はつらいよ』、そして西田敏行主演の『釣りバカ日誌』など、かつての日本映画には王道コメディ映画の系譜が脈々と連なっていた。だが、昨今はそれが途絶えて久しい。

 そんな中、テレビドラマとして『釣りバカ日誌』が復活した。それも、主人公の「ハマちゃん」の若き日を描くという。『釣りバカ日誌 ~新入社員 浜崎伝助~』(テレビ東京系)である。

 ハマちゃんといえば、西田敏行。そのイメージは、強固にこびりついている。それを覆してリメイクするのは、あまりに難題だ。

 だが、新たなハマちゃん役に濱田岳がキャスティングされると、多くの視聴者は膝を打った。「濱ちゃんなら、ハマちゃんにピッタリだ!」と。こんなことは異例だ。

 さらに、神キャスティングは続く。かつて三國連太郎が演じた、ハマちゃんのパートナーである「スーさん」に、なんと、映画版でハマちゃんを演じた西田を起用したのだ。もはやこのキャスティングの時点で、ドラマの成功は半分以上決まったようなものだった。しかも、映画版を手がけたスタッフも参加するという。盤石な体制だ。

 そうはいっても、いや、だからこそ、主演の濱田のプレッシャーは大きかったはずだ。地上波ゴールデンタイムの連続ドラマ初主演が、この失敗できない大役である。しかも、先代のハマちゃんの目の前でハマちゃんを演じなければならない。その重圧は計り知れない。

 事実、このドラマの初顔合わせのピリピリ感はすごかった。ドラマ開始前に放送された『クロスロード』(10月17日放送)では、濱田に密着。普段は常に飄々としている濱田が、この時ばかりは緊張で顔が引きつっていた。

 顔合わせに会議室に入ってきた西田は、旧知のスタッフと笑顔で挨拶を交わすが、隣に座る濱田とは目を合わせることもなかった。撮影が始まっても、西田の前で濱田の緊張は、なかなか取れずにいた。そんな緊張を解きほぐしたのも、やはり西田だった。西田は濱田に、そっと声をかける。

「私も、三國さんの後でスーさんをやることに緊張してます。新しいものを作っていきましょうね」

 その言葉通り、西田が演じるスーさんは、スーさんらしさを保ちながらも、三國版のスーさんとは違うものだった。それを見て、濱田は自分流のハマちゃんを演じればいいのだと、無駄なプレッシャーから解放されたのだ。

 子役時代から活躍する濱田の大きな転機になったのは、『3年B組金八先生』(TBS系)第7シリーズだろう。この時、濱田は、クラスのムードメーカーで金八(武田鉄矢)に茶々を入れる狩野伸太郎役を演じ、シリーズの実質的な主人公のような存在として作品を引っ張った。

“卒業式”では、金八から一人ひとり言葉を贈るのが恒例だ。この言葉は脚本家ではなく武田本人が考えるという。第7シリーズでも、それぞれに一文字漢字を選び、それとともに「贈る言葉」をかける。金八は、狩野に「新」という漢字を贈った。

「立っている木を斧で切ること。そうすると、樹木のいい香りがします。どうか、香りのある男になってください」と。

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