【THE OUTSIDER】“濱の狂犬”黒石高大、引退へ──強くなった「ただの不良少年」の道標
#インタビュー #THE OUTSIDER
――最近は、どんな作品に出演しているんですか?
黒石 いま上映中の『グラスホッパー』っていう映画にちょこっと出させていただいています。あとは、来年のゴールデンウィーク公開の『テラフォーマーズ』にも出させていただきます。
――えっ!? あの話題の超大作『テラフォーマーズ』に出るんですか? それはすごい! 何役ですか?
黒石 ゴキブリではないです(笑)。ちゃんと、戦闘員の役です。最初、三池崇史監督にお会いしたときに、「今度『テラフォーマーズ』っていう映画を撮る。そのとき仕事を頼むからよろしくね」って言われまして。俺、『テラフォーマーズ』を知らなかったから慌てて原作の漫画を読んで、「うわ、俺ぜってーゴキブリ役だ!」って確信しました。でも三池崇史さんといえば、日本を代表する大監督じゃないですか。このチャンスを逃してなるものかと思って、「よーし、完璧なゴキブリをこなしてやる! 頑張るぞ!」って意気込んで衣装合わせに行ったら、スタッフさんが「黒石おめでとう! メインキャストだから!」って祝ってくれて。「え? ゴキブリじゃないんですか?」みたいな。
――『テラフォーマーズ』の出演者をいま確認しましたが、錚々たる顔ぶれですね。伊藤英明、武井咲、山下智久、山田孝之、小栗旬……。
黒石 そうなんですよ! 俺以外スターしかいないから、現場では毎日ドキドキですよ。スターのみなさんは普段からめちゃくちゃ格好よくて、マネージャーの運転するアルファードとかヴェルファイアとかベンツとかで颯爽と現場入りするんですけど、そんな中、ペーペーの俺は自分の運転するプリウスで「恐縮です……恐縮です……」って感じで現場入り。俺みたいなもんが本当にここにいていいのかな? って毎日思っています。こういうウソみたいな大仕事をやらせてもらえるようになったのもすべて、もとをたどれば前田日明さんのおかげなんですよね。だから、キックボクシングでそのまま引退って話もあったけど、「いやいやいや、最後は何が何でも前田さんのところに帰って、そこで引退試合をやって、1人でも多くのお客さんを入れなきゃ」と。俺ができる恩返しといったら、それぐらいしかないんで。
――将来の目標を教えてください。
黒石 役者として地位を築けたらいいなと思いますし、「絶対そうなってやる!」って腹をくくっています。たとえ食えなかったとしても、バイトでもしながら諦めないで役者を続けて行こうと思っています。ただの不良少年からここまで変われたんだ、という成功例になりたい。成功して初めて、自分の言葉が生きてくると思うんで。
――「自分の言葉が生きてくる」とは?
黒石 たとえば最近は刺青の文化が若い子の間で定着しつつありますけど、そういうことに対しても、ひとこと言いたいんですよ。「俺がなんでこうやって役者の道を歩めたのかというと、刺青を入れなかったからだよ。将来の可能性を狭めないために、若いときのノリだけで簡単に刺青なんか入れちゃダメだよ」とかって。俺が役者として成功すれば、いろんな言葉が生きてくるっていうか、言葉に説得力が出ると思うんですよ。そういう発言力を得られるように、まずは自分が頑張らなきゃいけないですね。じゃないと「そういうおまえはどうなんだ?」って言われちゃいますから(笑)。
――黒石さんの言葉にはすでに説得力が十分あると思いますが、そのバックボーンは何なのでしょう? 読書ですか? それとも誰かからいろいろ教わったんですか?
黒石 昔から人の話はよく聞きますね。俺は小さなころは利かん坊でしたし、オカンが社会不在だった時期もあるので、「あの子は親がいないから……」って周りからよく悪口を言われたんです。それである時期、親代りになってくれた親戚のおばちゃんから毎晩、2、3時間正座させられてコンコンと説教されるようになりまして。オカンがいない間はおばちゃんが生活の面倒をみてくれていたから、そこから逃げたら生きていけない。だから我慢して正座して耳を傾けるわけですよ。人の話を聞くようになったのは、そのころの影響が大きいと思います。
――そんな幼少期の体験があったんですか。
黒石 そういえば、法を犯して施設に入ったときにかわいがってくれた方からも、「黒石、人の意見だけはちゃんと聞けよ。耳が痛い意見こそ、おまえに一番足りないもんだからな。我慢だ、我慢。ツラくても我慢しろよ」とずっと言い聞かされました。その影響もあって、イヤだなと思っても、とにかく我慢して話を聞こうと意識して生きています。
――それだけ素直な黒石さんが、なぜグレたのでしょう?
黒石 もともとイジメられっ子だったんですよ。でも家に帰ってイジメられた話をすればオカンもおばさんも心配するだろうし、傷つくんじゃないかと思って。どうしたらいいのかわかんないときに、たどり着いたのが暴力でした。こっちが強くなればイジメられない。それだけです。ただ単に自分を守るための手段が暴力しかなかったんです。みんなが敵だったんで、俺。
――黒石さんが人の痛みに敏感な理由がよくわかった気がします。では最後に、引退試合の話に戻りますが、「負けたら坊主にする」というのは本当ですか?
黒石 本当です。吉永くんは、負けたらどうするんですかね? 彼は格好いいし、おまけにチャラチャラしているから、イガグリの刑にしたやりたいですよね。俺の坊主よりも、吉永くんの坊主のほうが断然見ごたえがあるでしょう?
――「最後だから楽しもう」という意識はありますか?
黒石 いや、そういう気持ちはゼロです。全力で倒しに行きますよ。じゃないと周りが納得してくれません。みんなは、俺が逃げずに突っ込んで行くところを見たがっている。俺もそれをわかっているから、自分の腕を信じて振り抜くしかないですね。真っ向勝負で倒しに行きますから、どうかみなさん、俺の最後のタイマンを会場まで見に来てください! お願いします!
(取材・文=岡林敬太/撮影=長谷英史)
●大会名…THE OUTSIDER 大田区総合体育館 SPECIAL
●日時……2015年12月13日(日)開場/13:00(予定)開始/14:00(予定)
●会場……大田区総合体育館 東京都大田区東蒲田1丁目11番1号 TEL/03-5480-6688
●チケット購入方法
THE OUTSIDER事務局(TEL/03-3461-6698)宛の直接のお電話にてご購入いただけます。
※事務局からのチケット発送後の返品・交換・キャンセルはお受けしておりません。あらかじめご了承ください。
※チケットは3歳から必要となります。
・ローソンチケット Lコード/33931
・チケットぴあ Pコード/830-672
●販売席種
VIP席………15,000円(最前列※パンフレット付/大会当日に会場内の専用ブースにてチケットの半券を提示してください。)
SRS席………11,000円
RS席…………8,000円
S席……………6,000円
興行の中止を除いて、購入後のチケットのキャンセル/変更/払い戻しは一切お受けできません。
リングス公式サイト
http://www.rings.co.jp/
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