「オスグッド病」「ヘルニア」は無能な医師の言い訳? 元サッカー日本代表を蘇らせた『足ゆび力』とは
#本
オスグッド・シュラッター病や椎間板ヘルニアという病名は、無能な医師の言い訳なのかもしれない。『足ゆび力~つま先を使うだけで一生健康でいられる~』(ガイドワークス)を読了し、そう感じている。
腰痛の人が病院に行くと、医師に「レントゲンを撮りましょう」と言われる。そして、レントゲンを見せながら「腰の骨が変形して突出したことにより、神経を圧迫させている」と、椎間板ヘルニアと診断されるのがほとんどではないか。
だが、2011年に放送されたNHK『ためしてガッテン』では、「MRI検査でヘルニアを確認、緊急手術が必要とのことで、手術を受けた。手術は成功したが、腰痛は消えず、5年たった現在も腰痛は残っている』とある腰痛患者の様子がリポートされ、椎間板ヘルニアへの疑問が投げかけられている。
さらに、「腰に負担のかかる職業の15人を調べ、うち2人にはMRIでヘルニアがハッキリ確認できたが、2人とも腰痛はまったくなかった。この点について、最新の医学研究では、腰に痛みがない人でも80%にヘルニアが見つかり、ヘルニアが腰痛の真の原因ではないことが判明している。また違うデータでは、ヘルニアを手術した場合としない場合(経過観察)で、2~10年後の痛みの回復状況はほぼ変わらない。もちろん、ヘルニアの症状によっては手術が必要な場合もあるが、ほんの数%のケースでもある」と、真っ向からヘルニアが腰痛の原因とする説を否定している。
近年の医学界では、腰の痛みの原因をヘルニアではなく、「仙腸関節のズレ」と提唱する医師が増え、名医と呼ばれている。本書『足ゆび力』の監修者である夏嶋隆氏も、そのひとりだ。
ただし、夏嶋氏とほかの名医たちには違いがある。夏嶋氏は仙腸関節のズレを治すだけでなく、このズレが生じる原因も正す。本書には、仙腸関節のズレとなる原因が足の内旋であることが詳細に記されており、足の内旋を防ぐために“足指トレーニング”が推奨されている。
実際に夏嶋氏は、サッカー元日本代表であるゴンこと中山雅史氏や、ドラゴンこと久保竜彦氏を再起させている。久保氏は、「自分の人生に影響を与えた人は誰ですか?」という質問に対し、「(山形県にいる)断食(道場)の先生。サッカー関係は、高校の先生と、『FWやってみいや』って言った河内(勝幸)さん。あと、ジーコもうまぁって思ったね。(膝が悪いから)こんな歩き方(ひょこひょこ歩き)してんのに、ミニゲームとかになるとめっちゃうまい。でも、一番は夏嶋先生。命の恩人のような恩人というか。師匠じゃないけど、人間に大事な感覚というのをよみがえらせてくれた。あそこで夏嶋先生に会わんかったら、どんな人生になってしまったんやろって思います」と語っているくらいだ。
そんな本書に記されている理論はもちろんだが、それ以上に興味深いのが夏嶋氏の“物の見方”である。
「今の世の中に出ていることを疑うことも大切ではないでしょうか。常識や通説の中だけで生きていたら、発明や発展は起きません。いろいろな経験者がそれぞれ方法論を持っています。それがテレビや本で世に出るワケです。ただし、そこには経験という主観も入ってくるので、正論もあれば、違う部分もありますよね。伝言ゲームみたいになっていますから。だからこそ、理論の原点には学問がなければいけません」(『足ゆび力』より抜粋)
ヘルニアを削ってもなぜ腰の痛みがなくならないのか? オスグッドになると休むしか方法がないのはなぜなのか? その“WHY”がなければ、医療の発達はない。
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