まさか!? なんでここが都心の幼稚園なんだろう? カメラマンに泥水をかけてくる園児たちを追った『子どもは風をえがく』
#映画
撮影を担当したカメラマンの石崎俊一と秋葉清功が、相当な覚悟と忍耐力を維持して撮影をこなしていく姿勢が素晴らしい。
筒井監督と筆者は、10年ほど前にとある国際映画祭のコンペ部門に監督作とプロデュース作が共に入選して以来交流を持ち、そのプロデュース作の劇場公開初日に駆けつけて頂いたり、本作のマスコミ試写に参加させて頂いたりと、とても人と人との関わりを大切にする映画監督だという印象が強い。
だからこそ、保育士と園児たちとの暖かく繊細な交流をリアルに描いた前作『こどもこそミライ まだ見ぬ保育の世界』と同様に、本作でもそんな和やかな視線が如何なく発揮されたと感じている。
また、撮影を担当した石崎俊一とは筆者がかつて在籍した制作会社の先輩後輩という間柄でもあるために、筆者が関係する様々な作品でチームを組むことが幾度かあり、そのバイタリティーあふれる行動力やアイデアに驚かされたことは一度や二度ではない。
筆者が企画から携わり、先頃刊行されたばかりのルポルタージュ書籍『コミックばかり読まないで』(イースト・プレス)の著者近影撮影を石崎に依頼した際も、衝撃的な書籍内容と個性の際立つルポライター・昼間たかしの著者近影が、ありきたりの写真では意味を為さないであろうと打ち合わせた。
そして、撮影当日は書籍の基本コンセプト“ルポライター=取材対象を追う現代の野良犬”に倣って足早に歩く著者を石崎が様々な方向から狙い、その微妙な動きや表情を連写するという、著者近影としては稀有なロケーション撮影を敢行。
著者の斬新なイメージ創りに読者からの評価も上々で、筒井監督の現場でさらに鍛えられた石崎の成長には目を見張るものがある。
井口佳子園長の語りと共に、園児たちの目線を重ねることによって構築されたメッセージは、「ここにいることが楽しい」という純粋な心。それがスクリーン狭しと濃厚に焼き付けられる強固な長編ドキュメンタリー映画が誕生した。
(文=増田俊樹)
12月4日まで横浜シネマリンでロードショー
http://cinemarine.co.jp/children-draw-the-wind/
『子どもは風をえがく』公式サイト
http://www.kazeoegaku.com/
(C)2015 中瀬幼稚園 オフィスハル
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