“元アウトローのカリスマ”瓜田純士が新宿を歩けない……「パニック障害」と闘った日々
#インタビュー #瓜田純士
――「新宿の瓜田」というプライドゆえの気張りですか?
瓜田 少年時代に不良の世界で、弱いのに新宿のアタマになってしまった。以来、「街は虚勢を張るところ」「街はライブの自分を見せるステージ」っていう感覚で生きてきましたから、弱った自分を家族以外には見せたくなくて、このところずっと引きこもっていたという部分もあります。
――アウトローの世界で名を売った男ならではの悩みですね。
瓜田 「アウトローのカリスマ」なんて呼ばれたこともありますけど、それは分不相応ですよ。いまの僕は、嫁にとってのカリスマでありたいだけ。他の誰にどう思われても関係ない。嫁に「この人を信じてついてきてよかった」って思われたいだけなんです。裏を返せば、そういう絆の強まりを確認できただけでも、今回パニック障害になってよかった。無駄ではなかった。プラスになった。あれだけツラい日々を送ったんだから、そうでも思わないと、貧乏性の僕としては割に合わないですよ(笑)。
――パニック障害になったことで得た教訓は?
瓜田 例えば格闘技をやっている後輩たちにも、やがて年齢的な限界がくるでしょう。体が動かなくなったとき、その先の人生は果たしてどうなるのか? ってことを考えると、彼らは10年後がめちゃくちゃ怖いと思うんです。でもね、10年後を怖がって今日萎縮するより、明日を怖がって今日動くような生活をしないとダメ。いきなりのことが起きたときはマジで、10年後のことなんて考えられもしないですよ。僕はパニック障害になって一時期、何もかもがどうでもよくなっちゃいましたもん。「明日をビビって今日動けないぐらいだったら、明日が来ないと思って今日動いたほうがいい」。それが今回得た教訓です。
――いい言葉ですね。
瓜田 だから僕はいま、自分の本がとにかく売れてほしいんです。名前を売りたいからでも、派手に遊びたいからでもない。シンプルにカネがほしいんです。何かあったときのためにいまからカネをためておかないと危ない、っていう考えです。僕や嫁が医者の世話になるかもしれない老後のことも考えて、いまから貯金をしておきたいんですよ。
――瓜田さんの発言とは思えませんね。
瓜田 ぶっちゃけこのトシになると、もうムチャはできないですよ。保険をかけちゃう。若いときは考えもしなかったけど、健康あっての幸せです。認めますよ。「瓜田純士は丸くなった」と。尖ったふりはしたくないですもん。痛いものを痛いと言えない世界、怖いものを怖いと言えない世界にいたから、丸くなったと素直に言えるいまはとてもラクです。
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