20年たっても「後継馬なし」 “マイルの怪物”タイキシャトルが残した壮絶記録と、その可能性
#競馬 #武豊
海外遠征も視野に入れた明けて4歳になってからもその強さに変わりはなく、前哨戦をレコード勝ちした後、超不良馬場での開催となったマイルG1・安田記念も外から力強く抜け出して完勝。実況はゴールの瞬間、「夢は世界へ飛び立つか」と叫んでいる。競馬ファンの誰もが、この馬なら海外でも通用すると確信していた。
陣営は海外遠征を決断。選ばれたレースは、フランスの古馬マイルG1の最高峰であるジャック・ル・マロワ賞。欧州の強豪の中でも圧倒的1番人気に推されたタイキシャトルは、並み入るライバルをクビ差抑え込んで勝利。騎乗した岡部幸雄は涙し、前週のシーキングザパールに続く2週連続での日本馬のフランスG1制覇を達成したことも合わせて、日本競馬史上初めて、世界を驚かせた立役者となる。
帰国後のマイルチャンピオンシップでは、他馬が白熱の「2着争い」をする中で、5馬身というマイル戦らしからぬとんでもない着差で圧勝。まさに、開いた口が塞がらない強さだった。
最後のレースとなったスプリンターズSは、明らかな調整不足で3着に敗れたものの、同年の鬼神のごとき活躍が評価され、短距離馬としては史上初のJRA年度代表馬に輝き、日本馬としては史上初のフランスエルメス賞の最優秀古馬にも選出。さらに、1999年には史上25頭目となる顕彰馬に選出されて「殿堂入り」を果たすなど、日本の競馬界にとてつもなく大きな功績を残した。
とにかく、これだけの成績を残しても「もっともっとすごい記録を作れる」と思わずにはいられない、底知れぬ可能性を感じさせる馬だった。血統的にはアメリカのダートでも活躍が可能だったのではないか……。マイル以上の距離でも十分に勝負になったのではないか……。
タイキシャトルを超えるマイラーは、20年近く経ってもいまだに出ていない。その評価は上がる一方である。今年のマイルチャンピオンシップ、新たなスター誕生となるのか。
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