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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.349

食人族にカルト狂団!! 阿鼻共感のイーライ・ロス祭り『グリーン・インフェルノ』『サクラメント』

green-inferno02スマホの通じないジャングルで食人族に襲われる恐怖を描いた『グリーン・インフェルノ』。食人族に“好き嫌い”という概念は存在しない。

イーライ「今のネット文化を見ていて、閃いたんだ。スマホでのツイッターやフェイスブックに依存し、SNS上ですべての善悪を決めたがっている現代人と、そんな文化とは切り離れた民族との遭遇を描いてみようとね。ネットを駆使できる現代人は自分たちのことを賢いと思っているけど、実際はどうなんだい? と問い掛けるものにしたんだ」

 ホラー映画オタクが作った安直なリメイクものと思われかねない『グリーン・インフェルノ』だが、実はかなりの労作。撮影隊は毎朝5時に宿泊地を出発して、往復5時間かけてペルーの山奥へ。虫に刺され、スコールや病気に悩まされながらも日没までの撮影を続けた。さらにすごいのが、食人族を演じているのは現地の原住民たちだということ。映画を一度も観たことのない彼らに『食人族』のDVDを見せ、出演オファーしたというとんでもエピソードを残している。

イーライ「現地の人たちに『食人族』を見せたのは僕じゃなくて、ペルーのプロデューサーだったんだけどね(笑)。残念ながら僕はその時はいなかったんだ。でも、現地の人たちはものすごく温かく僕らを迎え入れてくれた。電気のない彼らの集落での生活は、いつもスマホやパソコンから離れられずにいる僕らには新鮮極まりないものだった。彼らへの演出は、撮影の前日に助監督たちが現地でアクティングゲーム、まぁ演技遊びみたいなことをして、その様子を映像に撮って、どの人がカメラ映りがいいか、どの場面にハマるかを考え、それぞれにピッタリの役を選んだんだ。そうすることで、迫真の食人族になったというわけさ(笑)」

『食人族』のDVDを参考に俳優デビューを飾った現地の人々に囲まれ、“処女の血”を求められる女子大生ジャスティンを演じたのはチリ出身の若手女優ロレンツァ・イッツォ。ふんどし姿でジャングルを走り回る姿に胸を打たれる。俳優でもあるイーライ監督とは『アフターショック』(12)でも共演した仲で、『グリーン・インフェルノ』の撮影後に2人は結婚。過酷なジャングルでのロケ中に愛を育んだらしい。下世話にそのへんのことも尋ねてみると、笑顔で答えてくれた。

イーライ「撮影中にロレンツァに惚れた瞬間があったか? ロレンツァがジャングルを流れる濁流の中に入っていくシーンがあったんだけど、彼女はためらうことなく川の中に入っていったんだ。そのときの彼女を見て、僕は結婚を決めたのさ。ハハハ、まぁこれは冗談だけどね。でも僕は日常生活のパートナーとして、また一緒に作品を作る協力者として素晴しい相手を得ることができたと確信しているよ。過酷なロケ地に同行してくれ、こんな素敵な相手と映画を作ることができた僕は幸せものさ。次回作『Knock Knock(仮)』で彼女はサイコパスを演じているけど、これは彼女のために用意した役。女優としてもサイコーだよ」

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