実は意外と多い!? 人には聞けない「きょうだいコンプレックス」原因と対処法とは
#本 #インタビュー
――きょうだいコンプレックスは昔からあるものだと思いますが、いま特に注目すべき点はありますか?
岡田 端的な現象としては、相続をめぐるきょうだい間の紛争事案が急増していることです。家庭裁判所の調査官は、てんてこ舞いの忙しさだそうです。この傾向は、都市部だけでなく地方でも顕著だそうです。また、親子関係や夫婦間の悩みでカウンセリングに訪れる方が非常に多くなっていますが、そこにきょうだい間の確執が微妙に絡んでいるケースが少なくありません。
――きょうだいコンプレックスを生まないために、親としてどんなことに特に注意すべきでしょうか?
岡田 何よりも大事なのは、公平さということです。ただ、公平さというのは、主観的なものなので、その子に応じた気配りが必要です。時には、話をする時間の長さとか、話す時の口調といったことも関わってきます。一人の子とばかり話をしているだけで、疎外感を抱く子もいるわけです。親としては、話しやすい子、求めてくる子とつい話す機会が多くなるのですが、常にほかのきょうだいのことも忘れないでいる必要があります。
また、親側の基準や期待を押し付けないということも大事です。親側の期待に沿う子どもを、どうしても優遇しがちです。親の基準ではなく、その子の基準を常に考えて、接するという姿勢が大事です。一人一人の最高の応援団長であるという心構えが必要です。もうひとつ大事なのは、自分を常に振り返り、非に気づくということです。完璧な親などいませんが、完璧かどうかではなく、自分を振り返り、非を認めることができるかできないかが、鍵を握ります。
こんなふうに親子関係が難しいのも、核家族化、小家族化したことがあるでしょう。雑多な人が一緒に暮らす生活ならば、今のような息苦しい関係にならずに済むのですが。しかし、今は小家族の時代なので、いっそうこまやかな気遣いをする必要があるといえます。
(取材・文=編集部)
●おかだ・たかし
1960年、香川県生まれ。東京大学哲学科中退。京都大学医学部卒。同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事。医学博士。岡田クリニック院長。パーソナリティ障害、発達障害治療の臨床医として活動。著書に『愛着障害』(光文社)、『マインド・コントロール』(文藝春秋)、『母という病』(ポプラ社)などがある。
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