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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > きょうだいコンプレックスって?
『きょうだいコンプレックス』著者インタビュー

実は意外と多い!? 人には聞けない「きょうだいコンプレックス」原因と対処法とは

41iyaCUNeML.jpg『きょうだいコンプレックス』(幻冬舎)

 きょうだいは、親以上の支えとなる存在なのか、それとも永遠のライバルなのか――。同じ境遇で育ち、血を分けたきょうだいは特別なつながりを持つかけがえのない存在だが、互いに争い、劣等感を抱きやすい、一番身近なライバルでもある。そのため、何かのきっかけで一度こじれると、そう簡単には修復不能で、きょうだいだからこそ激しい憎しみを抱き、同時に憎しみきれない面もある。

 親の介護や遺産相続など、きょうだい間のトラブルは珍しいことではない。古くは旧約聖書の『創世記』に、アダムとイブの間に生まれた2人の息子、カインとアベルの確執の話が語られている。兄カインは弟アベルのほうが両親から愛されているとねたみ、とうとうアベルを殺してしまうのだ。

 ところが、このきょうだい間の確執は、心理学ではおなじみでも、一般的にはあまり語られることがなかった。そんな問題について鋭く切り込んだ一冊が、『きょうだいコンプレックス』(幻冬舎)だ。きょうだいコンプレックスの原因と対処法について、著者の岡田尊司氏に話を聞いた。

***

――まず、本書のテーマである「きょうだいコンプレックス」とはなんなのか、簡単に教えてください。

岡田 コンプレックスとは、劣等感という意味で使われることが多いですが、元来はもう少し大きな意味を持つ言葉で、「わだかまり」「こだわり」のほうが近いと思います。つまり、きょうだいコンプレックスは、きょうだい間にある心のわだかまりやこだわりだといえます。相反する気持ちが結びついていることも多く、憧れる気持ちと劣等感が同居していたり、仲良くしたい気持ちとライバルとして敵対する気持ちが併存していたりします。きょうだいに対する思いを、いつの間にか無関係な相手に投影してしまうことも多く、他の人間関係にも影響します。

――きょうだいコンプレックスは、どのように生じるのでしょうか?

岡田 親の愛情や関心を、ほかのきょうだいに奪われた状況下で強く生じます。最も多いパターンのひとつは、きょうだいが優秀で、常にそのきょうだいと比較されて、いつも否定的な評価を受けてしまう場合です。また、病気や障害、行動や適応上の問題を抱えたきょうだいに親の関心が集中し、放っておかれるという場合、子どもが親や祖父母らの大人の事情に巻き込まれる場合もあります。いずれにせよ、親の不公平な愛情が、きょうだい間にわだかまりを生む最大の原因といえるでしょう。

――なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか?

岡田 これは、親の未熟な自己愛が原因です。自分が主役でないと気が済まず、子どもが自分の期待に応えられると持ち上げ、応えなくなると見捨てる、という養育態度がその典型です。“良い”“悪い”と判断されて育った子どもたちには明暗が生じ、それが不遇感や嫉妬を生み、きょうだい間の確執を生みます。自己愛の強い人は、自分を振り返り、自分の非を認めるのが難しい。独善的に、自分だけが正しいと思いがちです。えこひいきや不公平をしていても、自分にとって都合が良ければ、それが当たりとしか思わず、自分の非に気づくことができないんです。

 一方、きょうだい間の仲がいいところは、自分を振り返ることができる親に育てられていることが多いです。自分を振り返ることができる人は、相手への思いやりもある。少しでも不遇感を抱いている子がいると、自分の対応がその子を傷つけたのではないか、寂しい思いをさせているのではないのかと、すぐ考えることができます。

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