うつ病は気合と根性で乗り越えろ!? 韓国“自殺率世界第1位”も、抗うつ剤服用率が低いワケ
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韓国統計庁が発表している最新データによると、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均自殺者数は10万人当たり12人。加盟国中、自殺者数が3番目に多いフィンランドが15.6人、2番目に多い日本が18.7人、韓国は群を抜いて多く、28.7人で世界第1位となっている。
そのほかの資料と照らし合わせてみても、韓国は世界主要国の中で最も自殺率が高い国となるわけだが、自殺を予防するうつ病の治療については遅れているということが、このたび明らかになった。
18日、OECDは「一目で見る保険医療2015」というレポートを発表。韓国での1日当たりの抗うつ剤の平均服用量は、1,000人あたり20 DDD(defined daily dose=1日投与量)で、統計がある28カ国のうち、2番目に低い結果となった。なお、OECD加盟国の平均服用量は1,000人あたり58 DDD。韓国の約3倍の水準となる。抗うつ薬の服用量が韓国より低い国はチリ(13 DDD)。一方、アイスランド(118 DDD)、オーストラリア(96 DDD)は高い服用量をマークした。
韓国における風邪にかかった場合の抗生物質、糖尿病薬などの服用量は、他国と比べて相対的に多いという。が、精神薬の服用量のみ、唯一低いそうだ。背景に、うつ病患者が精神治療を受けることに関する否定的な認識があると、専門家たちは分析している。
韓国「聯合ニュース」が国立中央病院キム・ヒョンジョン教授に取材したところ、「精神科に対する否定的な認識のために、病気を抱えた患者が10年近く我慢しているケースもある」そう。患者の中には「薬を服用せずに、精神力で乗り越えることはできないのか」と、相談してくる人たちも少なくないという。
韓国政府は近年、世界的にも例を見ない自殺率の高さという不名誉について問題視している。そのため政府や各メディアは、うつ病治療のために社会的認識を改善し、患者が早期治療を受けられるように積極的にアナウンスしている。
前出のキム教授も「自殺の原因は、独居、離婚、病気、失業などさまざま。貧富の格差など大きな問題を解決するのは難しいが、うつ病の治療を受けるなど個人レベルで対処する必要がある」と強調した。
気合や根性など精神論が社会の隅々まで浸透している韓国だが、自殺率を高めるうつ病に関しては認識の変化が求められそうである。
(取材・文=河鐘基)
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