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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 殺処分寸前の犬たちが人間に復讐する!!

殺処分寸前の犬たちが人間に復讐する!! ハンガリー映画に込められた社会的弱者たちの叫び

whitegod_movie03コーネル・ムンドルッツォ監督(画像右)。「人間の残酷さに対する、少女リリの純真さとハーゲンの知恵とを対照的に描きたかった」と語る。

コーネル監督「2、3年前にハンガリーの保守的な政党から、ピュアなハンガリーの犬種でない犬たちには重い税金を課そうという法案が持ち上がったことがあった。この法案は可決されなかったものの、『ホワイト・ゴッド』はまったくの空想というわけではないんだ。映画の中で描かれた犬たちは、権力者である政府から弾圧される者たちすべてのシンボルでもあるんだ。J・M・クッツェー(南アフリカの作家で差別、偏見、虐待などをモチーフにした小説で知られる)の本も参考にしている。観る人によっては第二次世界大戦時の強制収容所を連想するかもしれないが、ハンガリーやドイツなどのヨーロッパの国々だけに限らず、社会的マイノリティーへの弾圧や排斥はどこの社会やいつの時代でも起きているんじゃないかな。さらにいえば、既得権者たちが弾圧している側にいつか自分たちはリベンジされるのではないかという“恐怖”も描いているんだ」

 犬版『猿の惑星』と称される『ホワイト・ゴッド』だが、『猿の惑星』の原作者ピエール・ブールは第二次世界大戦時にビルマで日本軍の捕虜となっていたのは有名なお話。日本兵によって白人兵たちが強制労働に従事させられた体験から、人間と猿との関係が逆転する『猿の惑星』を思いついている。『ホワイト・ゴッド』もまた、人類が21世紀になってもなお繰り返している人種差別や他民族への不寛容さが作品のベースとなっているようだ。『ホワイト・ゴッド』で暴動犬たちのリーダーとなったハーゲンと純真な少女リリとの間で培われた友情は果たしてどうなるのか。ラストシーンにコーネル監督の願いが込められている。
(文=長野辰次)

whitegod_movie04

『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』
監督・脚本/コーネル・ムンドルッツォ 動物トレーナー/テレサ・アン・ミラー 出演/ジョーフィア・プショッタ、シャーンドル・ジョーテール、ルーク&ボディ 配給/シンカ PG12 11月21日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
2014(C)Proton Cinema,Pola Pandora,Chimney http://www.whitegod.net

最終更新:2015/11/17 17:00
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