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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『アフロの変』がつなぐ“変なモノ”
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第109回

カルチャーは、点ではなく線――『アフロの変』がつなぐ“変なモノ”

afuro1113.jpgフジテレビ公式サイトより

 深夜番組は、テレビの豊かさの象徴だ。

 かつて深夜枠では、エロ番組から実験的な番組、マニアックな番組まで、多種多様な番組を放送していた。その自由な空間から新しい人材が生まれたり、育ったりしていた。だが、テレビ全体に余裕がなくなった現在、深夜番組にも自由さが乏しくなってしまったことは疑いようがないだろう。

 多くの深夜番組は、ゴールデンタイム放送を目指すことを宿命付けられる。その可能性が薄い番組は、一部の視聴者から熱烈に支持されていたとしても、短命に終わってしまうことが少なくない。

 それでは、せっかく深夜という比較的視聴率を気にしなくてもいい時間帯にもかかわらず、ゴールデン向けの似たような番組ばかりになってしまう。だから、出演者も硬直化し、スタッフを含め人材も育ちにくい。

 それが、現在のテレビの最も深刻な病理のひとつだろう。

 そんな中、深夜番組らしい深夜番組がある。それが『アフロの変』(木曜25:25~/フジテレビ)だ。

 かつて深夜番組には、「知らないことを教えてくれる」、あるいは「新しいことを紹介する」という側面があった。その最大の成功例のひとつが、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、米米CLUB、聖飢魔II、大人計画、ラジカル・ガジベリビンバ・システムなど、当時はまだまだ無名だった若手お笑い芸人、ミュージシャン、劇団などを紹介した『冗談画報』(同)だろう。こうした番組はほかにも数多く制作されたが、現在ではあまりない。それは「知らない人がテレビに出ていても、視聴者は見てくれない」という、作り手の意識があるからだろうか?

 だが、『アフロの変』は、そうした現在では数少ない「新しいことを紹介する」番組の系譜につながっている。

 MCからして、お笑い芸人のダイノジ・大谷ノブ彦とミュージシャンのレキシ(池田貴史)という、正直言って、テレビではあまりなじみのない2人。

 彼らに加えて毎回女性のアシスタントMCが登場するが、それも、℃-uteの岡井千聖、水曜日のカンパネラのコムアイ、Charisma.comのいつか、アカシックの理姫、チャラン・ポ・ランタンのももなど、決してメジャーとは言いがたい、挑戦的なキャスティングだ。

 さまざまなトップクリエーターが気になっている“変なモノ”を紹介するというのが、この番組の骨子である。アシスタントMCに抜擢される人材も、もともとはそうして紹介された人たちがほとんどなのだ。

“変なモノ”を紹介する人たちも、レギュラーのようにほぼ毎週登場するニッポン放送アナウンサーの吉田尚記や、準レギュラーと化したプロレスラーのスーパー・ササダンゴ・マシンをはじめ、松江哲明、増田セバスチャン、九龍ジョー、カンパニー松尾、ベッド・インなどなど多種多様。さらに、レキシがMCをやっていることもあってか、フジファブリックの金澤ダイスケ、THE BACK HORNの岡峰光舟、ORANGE RANGEのNAOTO、サニーデイ・サービスの田中貴、U-zhaanといったこの手のバラエティ番組にはなかなか出演する機会のないミュージシャンたちが登場するのも貴重だ。

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