「テリー伊藤のような者とは絶対付き合ってはいけない」故・日刊ゲンダイ川鍋会長の名語録
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第3位。週刊朝日の記事はこんな描写から始まる。
「11月3日、航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)であった入間航空祭には、約20万人(主催者発表)もの航空ファンが詰めかけた。(中略)だが、祝祭ムードとは対照的に、会場の片隅に設けられた『自衛官募集』のブースだけは、人影がまばら。採用説明会のテントの下にはパイプ椅子が並び、迷彩服姿の担当者が手持ちぶさたに座っていた」
今夏、2015年度の自衛隊一般曹候補生(下士官)の応募者は前年度から約2割減り、過去9年間で最小になったという。
安全保障関連法成立で、自衛官が戦闘に巻き込まれるリスクが高まったことと関連しているのではないかと朝日は書いているが、当然であろう。
しかも、危機はすぐそこまで迫っているのだ。自衛隊が南スーダンで実施している国連平和維持活動(PKO)の任務に、来年11月の派遣部隊の交代時に、今回の法改正によって合法とされた「駆けつけ警護」を加えることが検討されているからだ。
「『警護』といっても、実体は戦闘にほかなりません。2ケタ単位、最悪3ケタ単位の死者が出ることもあり得る。(中略)自衛隊は諸外国の軍隊のように救急救命制度が整っておらず、医師法や薬事法の制約で衛生兵による現場での治療や薬の投与も十分にできない。演習場近くに治療施設のある普段の訓練時とはまったく状況が違うのに、命を守る備えができていないのです」(元陸上自衛隊レンジャー部隊の井筒高雄氏)
やみくもに法律を作ったため、肝心の細部を詰めていないから、自衛隊員は戦地で自らを守ることができないというのである。
さらに、戦地で自衛隊員が死んだとしても、戦死という言葉は使えず、靖国神社に合祀することもできない。
そのために、市ヶ谷の防衛省の敷地内に大規模な式典も行える慰霊碑地区(メモリアルゾーン)が造られ、これまでに事故などで殉職した1800人以上の自衛官の銘板が納められているそうで、ここに祀られる可能性が高いそうだ。
日本の国を守るためではなく、米国のために日本も血を流さないと対等な立場になれないという理由では、自衛官が死を賭してでもという大義にはなり得ないはずである。
公務中での死亡には遺族年金や、国から弔意・見舞金が支払われる。現行では最高限度が6,000万円だが、イラク派遣時には、例外的に9,000万円に引き上げられた。
だが、死者が増えるとアメリカのように、戦死者の弔慰金が1,200万円程度にコストカットされないとも限らないのである。
さらに、自衛官のほとんどが入っている「防衛省職員団体生命保険」は原則として、「戦争その他の変乱によるとき」は保険金が支払われないことになっているそうである。
こうしたことも見直さずに、頼むから米国のために死んできてくれと言われても、「わかりました」と行く自衛官がどれくらいいるのだろうか。
いや、どんなに「補償」が完備されたとしても、大義のない戦争へ自衛隊を行かせることなどあってはいけない。今すぐにでも、この法案を廃案にすべきである。
第2位。現代は、2025年に日本の認知症患者・予備軍の数は合計1000万人を突破する、65歳以上の3人に1人、全国民の約10人に1人がボケるという人類の歴史上例を見ない事態が迫っていると巻頭で報じている。
「10人に1人が認知症ともなれば、現在のような高い水準の介護・医療サービスをすべての人に行きわたらせることは、とうてい不可能と言わざるを得ません。財政破綻を避け、なおかつ現状の社会保障を維持しようとすると、現役世代の収入を9割以上召し上げなければならないからです」(政策研究大学院大学名誉教授松谷明彦氏)
厚生労働省関係者が言っているように、政治家も官僚たちも「もう、どうすることもできない」と気がついてはいるが、さじを投げてしまっているのが現実であろう。
そして、老老介護ならぬ認知症が認知症の面倒を見る「認認介護」が急増していくのである。最近、老人のドライバーが引き起こす自動車事故が頻発しているが、こんな事故はますます増え続けるに違いない。
老人ホームでの認知症同士の争いや暴力沙汰が頻発し、SEX絡みの不祥事も、若者の特権ではなくなる。
経済大国ニッポンから、認知症大国ニッポンになるのだ。想像してみただけで恐ろしくなるではないか。だが、それはすでに始まっているのである。
今週の第1位は、日中韓三カ国首脳会議に関する各誌の記事である。
首脳会談は10月31日、11月1日、2日の3日間、韓国・ソウルで行われた。日本からは安倍首相、韓国は朴槿恵大統領が出席したが、中国からは李克強首相だったのは、なんとなく違和感を持った。中国では、国家主席と首相が役割分担して出席することが慣例になっていることはわかっているが、中国通に言わせると李首相は中国経済の落ち込みや先の株暴落で権威が失墜し、いまや習近平の傀儡にすぎないといわれているからである。
存在感をアピールしようとしたのか、李首相は会談で「一部の国の間でいまだに深い理解が成り立っていない」と日本を批判するなど、高圧的な態度が目立ったような気がした。
もう一方の韓国、朴槿恵大統領と安倍首相の“対決”は、どちらが勝ったのか。まずは文春、新潮から見てみよう。文春によれば、中国側が李は公式訪問、安倍は「実務訪問」なのだから10月31日はすべて中国と韓国の協議に割いてほしいと主張し、韓国側がこれに応じたため、日帰りでの訪韓を予定していた安倍首相は、泊まらざるを得なくなったそうだ。
外務省から報告を受けた安倍首相は、「もう首脳会議はやらなくてもいい。慰安婦問題は解決済みだ」と怒ったという。さらにホテルも、米国が定宿にしているグランドハイヤットを希望したが満員で、別のホテルにされたという。
安倍首相の訪韓は9年ぶりなのに歓迎式典は催されなかったが、李首相はレッドカーペットを朴大統領と歩くなどの歓待を受けた。
では、会談そのものの評価はどうか? 首脳会談の定例化と来年の日本開催では一致したが、歴史認識問題では溝は埋まらなかった。
「共同宣言文には『歴史を直視し、未来に向かう』という文言が盛り込まれましたが、日本は当初『歴史を直視し』を後ろに回してくれと主張していた。しかし、結局、中韓に押し切られてしまいました」(官邸関係者)
安倍首相は中国と南シナ海問題で舌戦を繰り広げたが、当然ながら歩み寄りはなかった。慰安婦問題では、韓国側が「年内妥結」を主張したが、これは「慰安婦問題は解決済みであるとして、『(一度決まった)ゴールは動かせない』と言い続けた安倍首相の“粘り勝ち”です」(現地特派員)
新潮も「首脳会談でその(慰安婦問題=筆者注)解決策を引き出せなかった以上、彼女の作戦は挫折したことを意味します」(大手メディアのソウル特派員)とし、慰安婦問題の解決策を示さなければ会談をしないとしてきた朴大統領が、その問題を脇に置いて安倍首相と会ったのだから、「韓国に妥協しなかった安倍外交の勝利に他なりません」(産経新聞論説委員・黒田勝弘氏)と日本側を評価している。
ともに、安倍首相のほうがやや優勢だったと言いたいようだが、懸案事項はすべて先送りでは、会ったという事実だけが残った空虚な会談だったと思わざるを得ない。特に、李首相と安倍首相の間に流れていた厳しい雰囲気は、日中関係の難しさをよく表していた。
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