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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『監獄学園』にほとばしる妄想の世界
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第108回

そこは地獄なのか、天国なのか? 『監獄学園』にほとばしる妄想の世界

 その言葉に、ほかの3人も同意する。訳がわからず「悔しかったんだろ?」と問うキヨシに、アンドレは泣きながら言うのだ。

「悔しかったよ! 副会長の靴が舐めれなくて! なんで止めたんだよ!」

 そう、4人はドMのド変態。美人でグラマラスな芽衣子に虐められてることで、快感を得ていたのだ。

 このドラマの監督は井口昇。スカトロものや、フェティッシュな題材を得意とするAV監督としても有名だ。だから、M心を刺激する、女性の魅力的な撮り方はお手の物。芽衣子の“部下”である花は、ゆるふわ系でファンシーな見た目。それをいまや最注目の若手女優のひとりである森川葵がキュートに演じている。芽衣子の暴力が“プレイ”的なのに対して、その見た目に反し花のそれは空手仕込みのガチ。男子たちから恐れられている。そんな花がキヨシに放尿シーンを目撃された上、さらにキヨシにおしっこをかけられるという恥辱を味わってしまう。

 ドSだったり、かわいらしい女性が一転、羞恥に顔を歪めるというのは、まさに井口の真骨頂だ。

 深夜といえども、エロやバイオレンスが表現しにくくなってしまった不自由な時代。井口はフェティシズムを追求することで、「これぞ、深夜ドラマ!」という作品を作り上げた。ドラマの舞台は“監獄”。不自由で地獄のような状況だ。だが、変態男子たちは、そんな中でも性的な悦びを見いだしている。

 精神は、どこまでも自由なのだ。地獄だって、妄想次第で天国に変わる。井口昇の作る深夜ドラマは、そんな自由な快楽にあふれているのだ。
(文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>)

「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

最終更新:2019/11/29 17:44
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