「悲惨であることを強要されてきた……」地下アイドルライター・姫乃たまの胸の内
――9月22日、アイドルが自らその業界事情をしたためた『潜行』が発売された。小誌では、同書内に収めきれなかった、元人気AV女優・大塚 咲による撮り下ろしグラビアを特別公開! 著者・姫乃たまがあらわにした、心と体の本音とは……?
「本を出しておいてなんですが、最近、アイドルの悲惨話にみんな飽きてきてますよね(苦笑)」
まさに、そんな“アイドルの悲惨話”を盛り込んだ初の著書『潜行』を上梓したばかりの地下アイドル・姫乃たまは、そう漏らした。
「地下アイドルの現状について書くようになって、取材をしていただく機会も増えたのですが……どこに行っても、聞かれるのはやはり、ブラックなお金の話か枕営業の実態についてばかりで。正直もう、そんなにネタがないんですよ」
そもそも彼女の文章は、そうした業界の裏側を“暴露”するようなものではない。自身も同じ「地下アイドル」というポジションに身を置きながら、淡々と、女の子たちの自意識や承認欲求と向き合おうとしたものだ。
「AKB48以降のアイドルブームは、地下アイドルのビジネスモデルを大手の事務所が真似する形で拡大させてきましたよね。もちろん、大手が真似する分には、その質を上げるだけだったと思うのですが……地下は地下で、さまざまな事務所が参入してきて、新たなビジネスモデルを構築し続けているんです。
中には、グループ卒業後に、“水揚げ”されて風俗嬢として開花する……といった“ビジネス地下アイドル”もいたりします。そこにはもう、女の子たちの“承認欲求”なんてないんです。私は、ビジネス地下アイドルではない、自身の“承認欲求”と戦う女の子たちの存在を知ってほしかったんですよ」
しかし、そんな彼女の思いとは裏腹に、メディアが注目するアイドル像は偏ったものばかりだ。
「こうして文章を発信していると、テレビ局からもよく問い合わせをいただくんですが、テレビって、オファーする時点で正解が決まってるじゃないですか。必ずと言っていいほど、“売れていないのにアイドルという職業にしがみついている”キャラであることが求められるんです。
以前、フジテレビのドキュメンタリー番組から連絡をいただいた際には、『売れてなくて、トラブルを抱えている子、問題のある子を紹介してほしい』と言われました。最近では、ライブ中にリストカットしたことで話題になった白石さくらちゃんの紹介を求める連絡がひっきりなしにありましたし。本来、地下アイドルの中でも“極端”な部分を、さもみんながそうであるかのように報じられてしまうのは、違和感があります」
枕営業も、ファンとの個人的な金銭のやり取りも、男の取り合いも、よく耳にするアイドル業界の裏話は、確かに嘘ではない。しかし彼女のように、その様子を横目に我が道を淡々と進む女の子たちも、少なくはないのだ。
彼女は最後に、「メディアに出演するたびに、その都度自分の価値を決めつけられたくないし、自分を切り売りしたくないんです。私、来年あたりには、普通に就職しているのかもなあ、なんて思いますよ。しがみついてるわけではないですから」と、笑った。
となると、大塚女史があらわにした彼女の柔肌を拝めるのも、もしかしたら今のうちだけかも。難しく考えるより、まずはアイドル・姫乃たまを、ぜひとも愛でていただきたい。
(文/編集部)
ひめの・たま
1993年、東京都生まれ。16歳よりフリーランスで開始した地下アイドルの活動を経て、ライター業を開始。以降、地下アイドルとしてのライブ活動を中心に、アイドルやアダルト分野などの文章を書きながら、モデル、DJ、司会など幅広く活躍中。只今、初の著書『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(小社刊/1400円+税)が発売中!
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