死のリスクを冒してまで人はなぜ登頂に挑むのか? 冒険と人命のカジュアル化『エベレスト3D』
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底なしの奈落が待ち構えている巨大クレバスが不気味だ。3D映像の特性を活かした奥行き感が恐怖心を煽る。手足を滑らしたら即死確実な巨大クレバスをアルミ製のハシゴを繋ぎ合わせて渡っていく。すんなり渡れればいい。商業登山によって、登山ルートはツアー参加者たちがひしめき合い、まるで人気ラーメン店のような大行列ができている。当然ながら手足は凍え、疲労は蓄積され、登山者たちの危険度は増していく。AC隊に参加したベテラン登山家で医師のベック(ジョシュ・ブローリン)は危うくクレバスに吸い込まれそうになる。AC隊の先行きの不吉さを感じさせるシーンだ。エベレスト登頂は自然との闘いだけでなく、1~2時間の行列待ちに耐えうる精神力も不可欠だった。
登頂までのトラブルを減らすため、AC隊は登山家として著名な米国人スコット(ジェイク・ギレンホール)の率いるマウンテン・マッドネス(MM)隊と協力し合うことに。晴天に恵まれ、いよいよ頂上へのアタック開始。ベックが目の不調を訴えてバルコニーと呼ばれる高さ8,412mの地点で待機することになったのを除けば、登頂は現実のものとなりそうだった。ダグの遅れが目立ち始めるも、最後の難所となる岩壁ヒラリーステップを登り切り、AC隊の難波康子たちは登頂に成功。ヒマラヤの山々を従えたエベレスト山頂からの眺めは、まさに絶景中の絶景だった。
下山予定時刻の午後2時を過ぎ、ロブたちが帰路に就いた頃、ようやくダグが姿を見せた。予定時刻を過ぎていることから登頂を断念するようロブは説くが、ダグはどうしても登頂したいと懇願する。「子どもたちに夢を与えたい」というダグの言葉を聞いていたロブは断り切れない。夕方4時になって、ようやくダグはロブに付き添われて登頂。だが、登山事故は圧倒的に下山中に起きる。目標を達成した気のゆるみと極度の疲労によって足元がおぼつかなくない。酸素ボンベはすでに空っぽ状態。酸欠状態で、判断力が著しく低下。日が沈み、さらに想像を絶する猛烈な嵐がロブたちに襲い掛かった。
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