ついに一本拳が世界に炸裂──! 地下格闘技出身・渋谷莉孔の才能が完全開花した!!
#格闘技 #渋谷莉孔
必殺技の“一本拳”が、ついに炸裂した!――地下格闘技出身の渋谷莉孔(30)が10月9日、マレーシア・クアラルンプールで行われたアジア最大の総合格闘技イベント『ONE Championship』に二度目の参戦。フィリピン人ストライカー、ユージーン・トケーロ(34)を圧倒し、念願の海外初勝利を掴んだ。日刊サイゾーでは、無傷で凱旋した渋谷を直撃取材するとともに、コーチの大沢ケンジ(38=和術彗舟會HEARTS代表)もゲストに招き、当日の戦いぶりや勝因を分析してもらった。前回の善戦と今回の勝利で国内外のトップファイターたちから一目置かれるようになり、ファン層も広がった渋谷。さらなるステップアップを目指すべく、年内に次戦を行い、ファン交流イベントも開催するという。地下から世界に殴り込みをかけた元アウトサイダーは、果たしてどこまで成り上がるのか?
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完勝だった。5分3ラウンド、ほぼすべての時間帯を寝技で支配し続けた渋谷が、3–0の判定でトケーロを下し、海外初勝利を挙げた。
帰国した渋谷を都内の飲食店に招き、インタビューを行った。減量の反動で食欲が増しているのか、はたまた元から大食いなのか、彼が迷わずオーダーしたのは「厚さ7センチ、重さ720グラム」のマグナム・ステーキ! これをひとりでたいらげながら、淡々とした口調で自身の試合を振り返る。そこに客観的な戦評も加えるべく、所属ジムの大沢代表にも同席してもらった。
――海外初勝利、おめでとうございます。スタンドのヒジ打ちを得意とするトケーロを警戒して、もっと様子見をするかと思いきや、しょっぱなから積極的に距離を詰めて行きましたね。
渋谷 もっと全体的に競ると思ったんですけど、1ラウンドの開始早々、相手からローキックを何発か入れられたときに、「コイツ、たいしたことねえな。行けるな」と思いました。蹴られてカッとなったわけじゃないけど、「ぶっ殺してやる」って感じで、絶対に打撃を当てる自信を持って前に出たら、案の定コンビネーションがヒットした。そのあとタックルしてからは、勝手に体が動いてくれました。
――タックルした直後、頭部にヒジ打ちを何発か食らっていましたが。
渋谷 反則覚悟で後頭部を打って来るというのは想定済みだったから、別になんとも思わなかったです。痛くもなかったし。
――大沢さんは、序盤の戦いをどう見ていましたか?
大沢 イメージ通りだな、と。そんなに寝技ができそうな相手じゃないから、打撃で勝負しながら組めたら組んで、寝技で仕留めようという作戦だった。最初に打撃をバチンバチンって当てたとき、相手が圧力で負けたというか、ひるんだ感じがあったから、「あ、行けるな」と。ひるんだところでタックルに行って寝技に持ち込む。ここまではもう、イメージ通り。ただ、そんなに上手く行くわけないとも思った。上手く行くわけない、行くわけない……と思っているうちに、試合が終わっちゃったんですけどね(笑)。
――相手にほとんど何もさせなかったですね。
大沢 寝技って実力差があると、相手は何もできないんですよ。何もさせないだけの差があったんだな、と。
渋谷 相手が弱かったというより、自分のレベルが予想以上に上がっていた感じっすね。やりながら「あぁ俺、強くなってんなぁ」って思いました。
大沢 課題はフィニッシュだな。KOするか、キメるかしないと、勝っても観客の印象に残らない。
渋谷 そこが心残りですね。年に何回かしか出られない大舞台で、せっかく絵を描いたのに、最後、額に入れられなかった、みたいな。僕は試合をアートとしてとらえているんですよ。もっとヒザとかを真上から落としたほうが作品の完成度が上がって、もっと客席も沸いたのかな、という悔いはあります。
――客席を沸かせるために、スタンドで打撃戦をすることは考えなかったですか?
渋谷 2ラウンドは打撃でやっちゃおうかと思っていたんですけど、意外なことに、相手のほうからタックルを仕掛けてきて、僕が倒されちゃった。それでムキになって、2ラウンドも3ラウンドも寝技で攻めたんですけど、仕留め切れなかったですね。
――大沢さんにお聞きしますが、今回みたいな相手を完全に仕留めようと思ったら、どう戦えばよいのでしょう?
大沢 マット・ヒューズ・ポジション(横四方固めの体勢から自分の足と腕を使って相手の両腕を固定して)から、もっと激しくヒジやパウンドを落とし続ければ、TKOを取れたはず。
――サイドポジションからヒジを顔面にグリグリ押しつけつつ、ヒザで側頭部を蹴る場面が続き、けっこう効いているようにも見えましたが。
渋谷 あれで終わるかな、と思ったんですが……。練習でヒザを使うと相手に大ケガをさせちゃうから、ヒザの使い方に関してはあまりシミュレーションできていなかったですね。
――2ラウンドの終了間際にパウンドを数発、思い切り振り下ろす場面がありました。あそこは見ていて興奮しました。
渋谷 さぁこれから! ってときに、ちょうどゴングが鳴っちゃいましたけどね。
大沢 でも、判定とはいえ勝ったのはデカイよ。勝つと負けるとはでは大違いだから。どんなに善戦しても負けたら評価されないのが格闘技の世界だから。
渋谷 ですね。あと今回は、一本拳(別項参照)をきれいに決められたのがうれしかったです。最初に左フックを当ててトケーロを流血させましたけど、あれ、一本拳なんです。2戦目にして、ようやく必殺技が炸裂しました。
大沢 ようやく決まったな(笑)。
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