三吉彩花、『エンジェル・ハート』で示した身体能力の高さーーアイドル出身女優の強みを読む
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だが、それ以上に驚いたのは、彼女が見せるダイナミックなアクション・シーンの数々であった。長い手足をしなやかに操りながら、屈強な男たちと対等に渡り合う迫力の格闘シーン。そしてクールな拳銃さばき。香瑩は、組織の「殺し屋」たちのなかでも1、2を争うエリートなのだ。これまで、「しっかりものの娘」や「何でもできる優等生」といった役どころが多かった彼女にとってみれば、まさしく驚きとも言えるハードボイルドな役どころ。これが非常にハマっていた。そこで注目すべきは、彼女の身体能力の高さである。
佐藤健、福士蒼汰など、『仮面ライダー』出身の俳優の活躍が目覚ましい昨今。彼らが映画やドラマで重宝される理由のひとつとして、その身体能力の高さが挙げられるだろう。いわゆる「アクション俳優」ではないものの、『仮面ライダー』を通じて身に付けたしなやかな身体性は、彼らの芝居の幅を間違いなく押し広げているのだ。そして近年、その波は、若手女優たちにもやって来ているように思う。たとば、映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』(2014年)で披露した身体能力の高さが各方面で絶賛され、その後NHKの朝ドラ『まれ』の主役に抜擢された土屋太鳳。あるいは、園子温の映画『TOKYO TRIBE』(2014年)以降めきめきと頭角を現し、押井守の映画『東京無国籍少女』(2015年)では、ガン・アクションを含む激しい格闘シーンを見事に演じ切った清野菜名。“動ける女優”のニーズは、これまで以上に高まっている。
そこで、三吉彩花である。「さくら学院」のメンバーとして、中学時代は歌と踊りのレッスンに明け暮れ、客前でのステージ経験も豊富な三吉。プロフィールの「特技」の欄に、「ダンス」と書いてあることからも、その身体能力の高さは本人も自信を持っているところなのだろう。しかし、それは「女優」という仕事においては、これまであまり披露される機会がなかった。そんな彼女の身体能力が、いよいよ全開になろうとしているのが、今回の『エンジェル・ハート』である。回が進むにつれて、さらに激しさを増していくであろう『エンジェル・ハート』のアクション・シーン。初めて演じるヒロイン役としての繊細な芝居はもちろん、恵まれた容姿と体躯を活かしたダイナミックなアクションという意味でも、注目の作品と言えるだろう。
(文=麦倉正樹)
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