「あれまッ」と驚くシャマラン節がたまらない!“無縁社会”が生み出した都市伝説『ヴィジット』
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大ヒットした『シックス・センス』(99)のインパクトがあまりに強すぎ、どんなオチが待っているかのみで期待されるようになってしまったM・ナイト・シャマラン監督。せっかくコース料理を用意しても、デザートしか食べてもらえない料理人みたいな気分だろう。『サイン』(02)のような恐怖と笑いが混在する作風や起承転結のレールに縛られないストーリー運びはもっと評価されていいはずだ。近年は『アフター・アース』(13)といったCGを多用したメジャー大作を手掛けたものの、もはやシャマラン監督作であることすら忘れられてしまった。そこで、久々に心理サスペンスのジャンルに里帰りを果たしたのが『ヴィジット』。ホームグランドに戻って、シャマラン監督自身が楽しみながら撮っていることが伝わってくる手づくり感のある恐怖映画となっている。
舞台はシャマラン作品ではおなじみ米国北東部に位置するペンシルベニア州の田舎町。北国の肌寒さ以上に、過疎化が進み、人影がまばらなことがより寒さを感じさせる。そんな寂れた町を若い姉弟が訪問する。15歳になる姉ベッカ(オリビア・デヨング)と13歳の弟タイラー(エド・オクセンボールド)。両親は離婚しており、シングルマザーとなった母親(キャスリン・ハーン)と3人で暮らしている。新しい恋人ができた母親に気を遣って、母親が生まれ育った故郷の実家を子どもたちだけ訪ね、1週間の休暇を過ごすことにしたのだ。初めて会う祖父と祖母に、ベッカとタイラーはワクワクドキドキ。ベッカはハンディカメラを手に、初めての実家訪問を感動のドキュメンタリー映画にしようと考えている。タイラーはお得意のラップで、祖母たちを驚かせようと大張り切りだ。
ベッカとタイラーの期待どおり、祖父(ピーター・マクロビー)と祖母(ディアナ・デュナガン)は温かく2人の孫を迎え入れてくれた。おじいちゃんはニコニコ顔、おばあちゃんはたくさんのお菓子を用意してくれていた。「父親に棄てられた」というトラウマを抱えるベッカとタイラーは肉親から無条件の愛情を浴びる幸せを噛み締めていた。ところが、夜になると古い家の様子が途端におかしくなる。夜10時を過ぎると、ベッカとタイラーがいる寝室のドアの向こう側で大きな生き物が這いずり回るような音がするのだ。恐ろしい夜を過ごしたことで、ベッカとタイラーの目に映っていた平穏な田舎の風景が一変していく。優しいはずの祖父と祖母が、どこか怪しく感じられるようになる。母親にスカイプで報告するが、「あの人たちは昔から変だった」「高齢者だから仕方ないのよ」と取り合ってくれない。単なる都会暮らしの現代っ子と田舎で暮らす高齢者とのカルチャーギャップなのか? それとも、この家には重大な秘密が隠されているのか? 不気味な緊張感が漂う中、また夜が訪れる。
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