「人命より利益優先?」移植用臓器を持った医師団の搭乗を拒否した中国航空会社のあきれた“言い訳”
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10月4日、広西チワン族自治区でドナーから肺を摘出した江蘇省の移植チームが航空会社から搭乗拒否され、「搬送許容時間」を超えた臓器を移植せざるを得なくなるという騒動が起こった。特殊なケースにもかかわらず、しゃくし定規に搭乗を拒否した中国・南方航空を非難する声が上がっている。「京華時報」(10月6日付)などが報じた。
移植に使われる臓器には、臓器の血流が停止してから患者に移植されて血流が再開されるまでの「虚血許容時間」が存在する。肺は8時間以内に移植されなくてはならず、搬送許容時間は6時間が限界だといわれている。
江蘇省無錫市の人民医院に所属する移植チームは2日、移植センターから遠く離れた広西チワン族自治区岑渓市に脳死したドナーがおり、肺が提供可能であると連絡を受けた。チームは当日中に自治区へ到着し、4日午前3時に順調に2つの肺を受け取って、無錫行きの便が出ている広東省広州市の白雲空港へと向かった。自治区から広州までの距離は約290kmで、通常であれば3時間ほどで到着する。ところが、1日から始まった国慶節(建国記念日)の大型連休の影響で高速道路は渋滞しており、大幅な遅れが出た。道路の両側にある救急車両や警察車両が利用する緊急用の「応急車道」を利用し、空港に着いたのは午前8時5分だった。
予約していた便は南方航空午前8時20分発の便だったが、すでに搭乗手続きは終了しており、「45分前搭乗」という規則に従い、搭乗を拒否されてしまった。同便は連休に加え、台風の影響もあり、出発時刻が午前9時10分と1時間近く遅れが出ていた。加えて移植チームは事前に南方航空へ事情説明の連絡をしており「こちらもできる限り対応します」と回答を得ていた。にもかかわらず、同社の地上職員は頑として移植チームを受け入れなかったという。
その後、深セン航空が手を差し伸べてくれたため、午前9時50分発の便で無錫へ移動し、到着後午後12時40分から患者への移植手術が開始された。肺は血流停止からすでに9時間余りが経過しており、虚血許容時間を大幅に過ぎていた。
午後4時過ぎに移植手術は終了。臓器に影響があると思われたが、奇跡的に術後の経過は順調で、6日には患者が人工呼吸器を脱して自発呼吸を始めた。
南方航空は批判を受け、「移植チームが空港に着いた時には、飛行機はすでにドアロックまで済ませており、そこからターミナルに戻れば全員を再搭乗手続きしなくてはならず、後の便よりさらに遅れる可能性があった」と言い訳をしたが、ネット上では非難の声がやまず、企業イメージが著しく悪化しているという。
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