現代版の公開処刑!? 中国で相次ぐ「死刑囚の最期」密着報道、当局の狙いとは……
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今年6月、中国で違法薬物の売買に関わったとされる60代の日本人男性に、死刑が執行されたことは記憶に新しい。1972年の日中国交正常化以降、中国で処刑された6人目の日本人となった。しかし、年間数千件という世界一の死刑執行件数を誇るこの国にとって、ひとりの死刑囚の死など、注目に値しないありふれた出来事なのかもしれない。中国で死刑囚が注目されるのは、ネットやテレビで、死刑執行直前の様子が報じられるときくらいである。
9月25日付の「中国新聞網」が、ある死刑囚の刑執行前の15時間に密着した記事を掲載した。
2013年4月、当時37歳だった楊朝全死刑囚は窃盗目的で侵入した家の住人に見つかり、その住人を果物ナイフで殺害する事件を起こした。その後、最高人民法院(最高裁判所)にて強盗殺人の罪で死刑判決が下された。楊死刑囚がこの家から盗み出した物は、わずか200元(4,000円)の現金と、電動ひげ剃りだった。
死刑執行前日の9月17日、楊死刑囚はいつもと変わらない様子で本を読んだり、ほかの囚人とトランプを楽しんだという。翌日の死刑執行日18日午前9時、最後の面会に楊死刑囚の家族がやってきた。楊死刑囚は痩せこけた白髪の両親の姿を見るなり大声で泣き始め、両親に謝罪した。兄には、年老いた両親の面倒を見るよう伝えた。面会時間が終わり、面会室を去る両親の後ろ姿を見るや楊死刑囚は泣き崩れ、「もし生まれ変わったら、真人間になる」と何度もつぶやいた。
正午に提供された昼食に一口だけ手を付けて終えると、記者に最期の言葉を語った。
「後悔するのが遅すぎた。後悔することが多すぎた。小さいころから勉強もせず、万引ばかりしていた自分が悔しい。結婚して家庭を持ちたかった。あの日、強盗して殺してしまったおじいさんに申し訳ない」
その後、楊死刑囚は、同室だった囚人たちと最後に面会したいと刑務官に申し入れるも、却下。この日の午後1時、死刑は執行された。執行方法は不明だが、銃殺か薬殺のいずれかである。
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