トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 松本が初めて明かす若手時代の苦悩
テレビウォッチャー・てれびのスキマの「テレビ裏ガイド」第105回

もしいま、松本人志が『M-1』に出場したら? 『下がり上がり』に見る、芸人残酷時代

matsumoto1005

「売れていない芸人はクズ」

 ダウンタウンの松本人志は、若手芸人時代、事あるごとにそう言われたという。だとするなら、いま芸人界はクズであふれている。90年代後半の“ボキャ天”ブーム以降、断続的に続くお笑いブームの結果、芸人が急増し、現在明らかに供給過多になってしまっている。もちろん、才能がない人が世に出られないことは必然だ。だが、才能があるにもかかわらず、くすぶっている若手芸人も少なくない。

 そんな若手芸人をゲストに迎え、松本と陣内智則が話を聞くという番組が芸人ドキュメンタリー『下がり上がり』(フジテレビ系)だ。7月3日深夜に第1回が、10月4日深夜に第2回が放送された。番組がスタートしたきっかけは、松本と陣内が約1年前から行っていた“ランチ会”。そこで陣内は毎回、売れていない若手芸人を呼び、松本に紹介していた。それを、そのまま番組にしたのだ。

 これまで迎えたゲストは、プー&ムー、トータルテンボス、ソラシド、井下好井。トータルテンボスを除けば、大多数の視聴者にとってはピンとこないメンツだろう。だが、いずれも“知る人ぞ知る”存在。芸人仲間の間では、その才能が認められている者たちばかりだ。ちなみに、そのランチ会の第1回目の“ゲスト”が、ソラシドの本坊元児だったという。

 トークでは、やはり若手芸人の過酷な生活状況が話題になる。たとえば、プー&ムー。おたこぷーの「おたこ体操」が福岡でブームになったが、売れたのはおたこぷーだけ。コンビでの活動は休止状態になってしまった。心機一転、上京したが、東京での仕事はほとんどない。芸人としての仕事は月2回の劇場出演のみ。しかも、ギャラは出ないという。

 ソラシドも同じようなものだ。先月の給料は272円だという。劇場の出演料が300円、そこから源泉を引かれて270円。それに、DVDの印税が2円入っただけだった。時折、テレビでも名前を聞くようなソラシドでさえ、そのレベルなのだ。

 周りの芸人仲間にいくら評価されても、賞は獲れないし、生活もできない。せっかく才能があっても、その夢をあきらめざるを得ない芸人は大勢いる。

 おたこも「春までに結果が出なかったら辞めよう」と相方に伝えたという。

「『そんなん言わんと、頑張れよ』って言うのは好きじゃないねん」

と、松本は言う。

「しょうがないもんな。それも、ひとつの自分たちの判断で」

 この番組の大きな魅力のひとつに、若手芸人たちの悩みを聞くうちに、松本がこれまでなかなか話さなかった若手時代の苦労話を語っていることが挙げられる。

 ダウンタウンは言わずと知れた“天才”。だから、「売れてない」時期などないと思われがちだ。だが、もちろんそんなことはない。短いながらも認められず、腐っていた時期はあった。デビュー当時は、同期のハイヒールやトミーズの後塵を拝していたのだ。

12
ページ上部へ戻る

配給映画