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日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 高橋源一郎が考える民主主義とは

安保法案可決も「“負けた”とは思っていない」高橋源一郎が“教え子”SEALDsと8時間語り尽くす!

51dcL7Zt3QL.jpg『高橋源一郎×SEALDs 民主主義ってなんだ?』(河出書房新社)

 9月19日、集団的自衛権の限定的な行使を容認した安全保障関連法案、別名「戦争法案」が、怒号が飛び交う中で強行採決された。わたしも採決の数日前に国会前で行われたデモを訪れたが、ともかく人、人、人だらけ。あまりの混雑で前にも後ろにも進めない中、10~80代ぐらいの幅広い年代の人々が共に“声を上げる”姿を見て、驚いた。バックグラウンドも違う日本人が力を合わせて活動する、という行為に感動すらした。

 そして、この大群衆の先頭に立ち、トラメガを手に「戦争法案、絶対反対!」「安倍はヤメロ! ヤメロ! ヤメロ!」と叫ぶ、SEALDsメンバーを見て、あらためて驚かされた。テレビやネットでは見ていたが、表参道や青山にいそうなかわいらしい女子に、イケメン率の高い男子。これだけの巨大な人の渦を作り出したのが、彼らなのか。

 SEALDsについては、すでにさまざまなメディアが「これが『SEALDs』の正体だ!」「中心メンバー奥田愛基の正体とは!?」などとあちこちで書き立てているので、サイゾー読者なら、おそらく何かしらの記事をすでに目にしたことはあるのではないかと思う。

 良くも悪くもいろいろな“正体”が暴かれていると思うが、まったくイロのついていないSEALDsの素顔が見えてくる1冊が、『高橋源一郎×SEALDs 民主主義ってなんだ?』(河出書房新社)だ。これは、今年5月に発売された『僕らの民主主義なんだぜ』(朝日新聞出版)が10万部を超えるベストセラーとなっている作家であり、明治学院大学国際学部教授の高橋源一郎氏と、同学部4年の奥田愛基氏、同じく社会学部4年牛田悦正氏、上智大学国際教養学部4年の芝田万奈氏を中心とする、SEALDsの学生メンバーが、2日間、8時間をかけて「SEALDsってなんだ?」「民主主義ってなんだ?」を軸に語り合う対談集だ。

 とくに、奥田氏とは大学入試の面接で出会ってからの付き合いだという高橋氏の、奥田氏を見る目はとても独特だ。「(奥田氏は)“野生”っぽかった。っていうか、本当に、学校教育を受けてきたんだろうか、と思った」とか、文章を書く授業では「惚れ惚れするような、変な文章を書いてくるんだ」と語り、社会や学校教育にまるで「洗脳」されたところがなく、異彩を放っていたのだという。

 本書では、それぞれのメンバーがどういう家庭環境で育ったのかを含め、詳しい自己紹介から、そこからどうして「SEALDs」が生まれたのか、なぜデモを始めたのか、どういうふうにして今のデモの形になったのか、などの話が続き、合間、合間で、バイトでデモに参加できなかったなど、メンバー同士の大学生らしい話も出たりする。また後半では、高橋氏の講義のような形で、古代ギリシアの民主制にまでさかのぼり、民主主義とは何かをマジメにひもといていく。

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