中朝国境に架かる“貿易の大動脈”が大事故で使用不能も、新国境橋が「無期限開通延期」のワケ
#中国 #北朝鮮 #東アジアニュース
10月10日に労働党創建70周年を迎える北朝鮮。ミサイル発射を含め、国を挙げた一大イベントで何かと物入りの時期だが、喉元を絞めるような事態が発生した。9月28日、中国・丹東と北朝鮮・新義州を結ぶ鴨緑江大橋で大型トラックが横転、車道と鉄道線路をふさぎ、物流がストップしているというのだ。中朝貿易の7割を占める大動脈だが、橋は日本統治時代に建設されたもの。しかも、新しい国境橋は完成しているが、使用不能という。中朝国境は、いつになく不穏な空気が流れている。
中国の画像サイトに投稿された事故現場の写真によると、橋の上で大型トレーラーが線路側に横転して、車道と線路ともに通行不能になっている。29日に通行止めは解除になったとの情報もあるが、路面の一部が陥没した画像も投稿されている。韓国メディアによると、中朝貿易の7割がこの鴨緑江大橋を通じて取引されているという。
1943年に完成した橋は幅が狭く、車道1車線、鉄道は単線しか走れない。このため、車両や鉄道の行き来は、時間を決めて一方通行にせざるを得ない。
老朽化して輸送力に限界がある橋に、物流の多くを依存するリスクは極めて高く、今回の事故について民間の北朝鮮研究者は「起こるべくして起きた。10日の祝典で必要な資材、幹部へのプレゼントや食料が滞ることになれば、金正恩第一書記への忠誠度も下がる」と予想する。
こうしたリスクは前々からあり、それらを打開すべく、中朝はすでに故・金正日総書記時代に手を打っていた。2009年、中国の温家宝前首相が訪朝した際、両国は新橋建設で合意していた。
中国が建設費用をすべて負担し、現在の橋から10キロほど下流に、横浜ベイブリッジに似た白い「新鴨緑江大橋」が14年10月に完成。中国側は、税関や出入国管理所も新築して開通を待つ状態だが、先の研究者は「北朝鮮側の橋のたもとから先の工事が、まったく進んでいない」と指摘する。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事