少年Aを闇に戻した『絶歌』出版 幻冬舎・見城氏、太田出版・岡氏の社会的責任は?
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
「ジャニーズが結婚するには、相手と最低5年は交際し、事務所に“本気度”を見せるという不文律がある。しかし嵐は事務所イチの稼ぎ頭。結婚は当分認められないでしょう。大野もそのことはわかっているはずです」(テレビ局関係者)
いやはや、人気者はつらいね~。
少年Aからメディアに送られてきた手紙が話題になっているが、新潮でAが事件を起こした後、7年2カ月もの長きにわたって収容され、治療を受けていた関東医療少年院の元院長の杉本研士氏が「『絶歌』の出版をきっかけにしてすべて(彼らがやって来た努力=筆者注)が台無しになり、彼が歩んできた更生の道のりは水泡に帰した」とまで言い切っている。
「誰からも『絶歌』が認められなかったことから自尊心を傷つけられ、孤独の海に再び放り出された心境に陥っている。その反動で、自己顕示欲が膨れ上がり、幼児性ナルシズムが前面に表れてきているようにしか見えません」(杉本氏)
Aは母親との愛着障害のほかに、遺伝子レベルの障害である行為障害、性的サディズム障害を抱えているというが、本の出版を機に「抑え込んだはずのマグマが爆発し、なにもかも無駄になってしまう恐れも出てきた」(同)。Aに出版を勧め、発行した幻冬舎・見城徹社長と太田出版の岡聡社長の罪は決して軽くないと、杉本氏は指摘する。
本を出版するとき、この2人は「企業の社会的責任」をどこまで突き詰めて考えたのだろう。嫌な言い方になるが「売り切ってしまえばハイそれまでよ」と考えていたとしたら、甘すぎるというしかない。
自分の本への想像以上の反発に「彼の奥深くに眠っていた攻撃的、挑戦的な性格が呼び起こされた」(同)Aが、再び同じような事件を起こさないように見守り導く「責任」が2人にはあるはずだと思うが。
珍しいが、新潮のグラビアを取り上げたい。「大水に呑まれた日常」の写真がいいのだ。
見開きの写真は、9月11日午後16時半の茨城県常総市役所近く。身体の半分が水に浸かった男性2人が子どもを肩車している。だが、後ろの車のフロントガラスに残った線を見ると、少し前までは男性の首まですっぽり埋まる高さまで水位があったことがわかる。
この1枚で、豪雨の怖さが過不足なく表現されている。映像ではさんざん流れたが、写真の強さをあらためて認識させてくれる。撮影・西村純とある。見事だ。
いま世界的に問題になっているのが、シリアから逃れてくる難民問題である。この問題がクローズアップされたのは、トルコの海岸に打ち上げられたシリア難民の3歳のアイラン・クルディくんの遺体の写真がネットに上げられ、瞬く間に世界中に難民たちの悲惨な実態が知られたことからだった。
アイランくんの一家はトルコに入国し、叔母のいるカナダへ移民申請をしたのだが、拒否されてしまった。そのため、仕方なく全長4.5メートルの小さな舟でギリシャを目指したが、高波を受けて転覆してしまったのだ。
この問題を日本の週刊誌はほとんど取り扱わないが、現代で大橋巨泉氏が書いている。
カナダは10月に総選挙を控えているが、なぜ移民を受け入れないのかが争点になり、「カナダはもっとシリアへの軍事介入を強めるべきだ」と主張するハーバー現首相の立場は苦しくなっているという。
だが、シリアを含めた中東・アフリカを逃れ、欧州に流入する難民や不法移民は今年に入ってだけでも36万人以上といわれる。ドイツのメルケル首相は難民受け入れに寛容だが、ハンガリーなどは徒歩で入国できるほぼ唯一の通りをフェンスで閉鎖するなど、EUの中で難民の対応をめぐって不協和音が出ている。
また、「確実なのは、ドイツをはじめ西欧諸国に、移民や外国人を排斥する極右勢力が力を増す」と巨泉氏は予測し、EUの壮大な試みは失敗に近づいていると悲観的だ。
ドイツへ越境しようとしているシリア難民の多くはクルド人だが、文春によれば埼玉県のJR蕨駅周辺にクルド人が2,000人近く住んでいる「ワラビスタン」と呼ばれる地域があるという。
トルコ政府との対立を避けて、90年代前半に渡航してきて5年ぐらいで倍増したが、「ほとんどが日本で難民申請を認められず、就労可能な『特定活動ビザ』や、数カ月毎に更新が必要な『仮放免』で不法就労をしながら滞在しています」(日本人支援者)。日本に来ればなんとかなるという情報が流れ、数百人のシリア難民が日本を目指しているともいわれるそうだ。
ちなみに、26年度で日本に難民申請した人は5,000人。認められたのは、わずかに11人だけである。国際貢献をうたうのなら、難民受け入れの枠をもっと広げるべきであろう。
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