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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > AppleがGoogleへ宣戦布告?
ITライター柳谷智宣の「賢いネットの歩き方」第83回

日本の広告会社やプロブロガーに影響大? iOS 9「広告ブロック機能」は AppleからGoogleへの宣戦布告か?

ios0924.jpgiOS 9公式サイトより

 9月16日にiOS 9が公開され、25日にはiOS 9を搭載したiPhone 6s/6s Plus、iPad Proが発売される。このiOS 9は多数の新機能を備えるが、中でも注目を集めているのが広告ブロック機能。Safariで表示するウェブページから、広告を除去してくれるのだ。「Crystal」などの広告ブロックアプリをインストールし、設定から「コンテンツブロッカー」をオンにすると、有効になる。

 手元のiPhone 6で早速試したところ、きれいに広告を除去してくれた。Googleの検索結果からさえ、Google AdWordsの広告を消してくれるのだ。画面はすっきりするし、ウェブページの読み込みも速くなるし、ユーザーとしてはいいことずくめ。このままでいけば、iOS 9の人気機能になるだろう。

 しかし、日本の広告会社やプロブロガーなど、ネット広告で収益を得ている人の間で動揺が広がっている。世界規模で見るとiPhoneの市場占有率はそれほど高くなく、アメリカでさえ4割以下なので、影響は限定的といえる。しかし、世界でダントツのiPhone好きである日本では、iOSの広告ブロック機能が収益に悪影響を及ぼす可能性があるのだ。

 筆者が運用しているウェブサイトは月間約3万PVあるが、そのうち41%がiOSで、21%がAndroid、33%がWindowsとなっている。この4割のアクセスがカウントされなくなるなら、単純計算で収益は4割減となる。

 冷静な人たちの間では、そこまでして広告を表示させたくないユーザーは、広告を絶対にクリックしないので、広告ブロック機能を使われてもそれほど影響はない、という意見もある。その通りなのだが、問題は幅広い一般ユーザーまでこの機能を使い始める可能性が高いという点。今後、ありとあらゆる雑誌やウェブメディアでTipsが紹介されるだろうし、iPhoneに詳しい人が詳しくない人に教えてあげるということも増えるだろう。

 ウェブメディアの広告収益からギャランティをいただくこともある筆者だが、この広告ブロック機能の便利さは否定できない。現在は、定番の広告ブロックアプリが有料なので、爆発的には広がらないだろう。しかし、優秀な無料アプリが公開されたら、勢いは止まらなくなるだろう。

 Appleがこの暴挙に走った理由はなんなのだろうか? Appleのティム・クックCEOは「ネット広告がユーザーのプライバシーを侵害している」と言っていた。とはいえ、額面通りに受け取ることはできない。狙いは、ライバルのGoogleだろう。満を持して、広告カテゴリーでも宣戦布告をしたのだ。Safariでは、広告とは関係ないユーザー分析ツールのGoogle Analyticsまで無効になっている。広告を出したいなら、Appleの「iAd」を利用しろ、ということかもしれない。

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